筋電図を利用した神経インターフェース
ARが目指すのは、現実世界と仮想世界の融合であり、私たちの日常生活を根本から変えることです。
ARで表示された情報を操作するために、いちいちスマートフォンや専用のコントローラーを取り出さなければならないなら、この技術は台無しになってしまいます。
フリーハンドで日常の動作の延長として操作を行えることが理想なのです。
そして、日常的に利用することになるため、1日中装着していても負担にならないデザインでなければなりません。
音声入力という方法も研究者たちは考えましたが、これは公共の場所では利用しづらいツールです。
またバックグラウンドノイズによって十分な信頼性を確保できない可能性があります。
そこで、研究者たちが考えたのは手首から入力情報を読み取るリストバンド型のHCIです。
手首をターゲットにしたのは、1つにこの部分が腕時計など伝統的にツールを身につける場所として定着していたためです。
そしてもう1つの理由は、手首を通る運動神経の電気的信号は非常に明確だからです。
新たに開発されたデバイスは、いわゆる筋電図 (Electromyography :EMG)を利用しています。
EMGはわずか1ミリメートルの指の動きさえ読み取ることができます。
FRLの研究チームが目指したのは、脳の神経伝達を読み取ることで、手や指の筋肉の動きをアニメーション化して、機械を直接制御できるようにするというものだったのです。
これにより、触れられないARが、まるでスマートフォンの画面をタッチして操作する感覚とそっくりに操作できるようになるのです。