土星の環は「まるで太陽系」
土星は、太陽系の中で木星に次いで2番目の大きさを誇るガス惑星です。
半径は地球の9倍ありますが、密度は8分の1ほどしかありません。
そして、土星の環は、ほとんどが塵からバスサイズの氷塊であり、他に岩石や宇宙塵も含まれます。
全体の周回スピードは音速の約70倍に達するそうです。
一方で、環は土星側から、D環、C環、B環、A環、F環に分かれており、それぞれスピードも違います。
それを示したのが、オドノヒュー氏の手による以下の動画です。
土星に近いほど周回スピードは速く、遠いほど遅くなります。
最も近いD環は秒速23.2キロに達しているのに対し、最遠のF環は秒速16.4キロで、これは土星自体の自転よりも遅いです。
土星を中心にして異なるスピードで周回する様子から、オドノヒュー氏は「土星の環は小さな太陽系のようだ」と評しています。
他方で、環はそのスピードから想像されるほど荒々しく、混沌とはしていません。
それぞれの環が高速で動いているにもかかわらず、環同士の間の軌道上にある氷塊は毎分2〜3センチでしか移動していないのです。
オドノヒュー氏は「この速度は30分に1歩程度で、ラッシュアワー時の交通渋滞のようなものです。そのため、氷塊の激しい衝突は起こりません」と説明します。
また、土星の環は非常に長く、広げると太陽系の代表的な惑星がすっぽりと納まるほどです。
こちらもアニメーションとして制作されています。
長さとは対照的に、質量はとても軽く、月質量のわずか5000分の1しかありません。
これは土星の環が非常に薄く、壊れやすいことを示しています。
オドノヒュー氏は、NASA(アメリカ航空宇宙局)在籍時に、土星の環がわずかずつ消失し続けていることを発見していました。
同氏は「環を構成する物質は、毎秒ごとに土星に流れ込んでおり、このペースがずっと続くなら、3億年後には完全に消えているでしょう」と指摘します。
土星の環が見られる時代に生きている私たちはとても幸運かもしれません。