新しく開発された電池はリチウムイオン電池の10倍の速さで充電ができる
新しく開発された電池はリチウムイオン電池の10倍の速さで充電ができる / Credit:canva
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リチウムイオン電池の10倍の速さで充電できる新しい電池が登場。 発火の危険性が低く、低温でも動作が安定

2021.04.09 Friday

今やリチウムイオン電池は私たちの生活になくてはならない必需品となっています。

しかし、リチウムイオン電池には発火の危険性や廃棄時の環境への影響など問題も存在していて、さらに優れた電池の開発に世界中の研究者たちが挑戦しています。

今回ロシアのサンクトペテルブルク大学の研究チームが発表したのは、リチウムイオン電池の10倍の速さで充電ができる上、環境にも優しいという新しいタイプの電池です。

この研究は、科学雑誌『Batteries&Supercaps』に掲載されています。

St Petersburg University chemists create a new type of battery that can charge ten times faster than a lithium-ion battery(St Petersburg University) https://english.spbu.ru/news/4298-st-petersburg-university-chemists-create-a-new-type-of-battery-that-can-charge-ten-times-faster-than-a-lithium-ion-battery
The Fast and the Capacious: A [Ni(Salen)]‐TEMPO Redox‐Conducting Polymer for Organic Batteries https://chemistry-europe.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/batt.202000220

覇権 リチウムイオン電池の問題点

今や、スマートフォンから電気自動車まで、あらゆる技術において利用されている小型バッテリーの覇者リチウムイオン電池ですが、完全に万能というわけでなく、いくつかの深刻な問題点を抱えています。

一つは潜在的に発火の危険性をはらんでいるということです。

もう一つは、低温の環境では性能が大きく低下するという問題です。

人気アニメ「ゆるキャン△」では冬のキャンプ場で急速にスマホのバッテリーが減ってしまう場面が登場している。
人気アニメ「ゆるキャン△」では冬のキャンプ場で急速にスマホのバッテリーが減ってしまう場面が登場している。 / ©あfろ・芳文社/野外活動サークル

また、廃棄時の環境に与える影響なども問題視されています。

リチウムイオン電池なしの生活はもはや私たちには考えられないものですが、今後登場する新型バッテリーには、こうした問題を解決させたさらなる技術革新が求められているのです。

新しい電池の開発で重要となるのは材料の組み合わせです。

ロシアのサンクトペテルブルク大学の研究チームは、3年以上の歳月をかけて「レドックス活性ニトロキシル含有ポリマー」という材料を研究してきました。

この材料は、急速な酸化還元反応が起こせるといいます。

専門的な用語が多いですが、この新しい材料で作られた電池にはどんな特性があるのでしょうか。

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