充電速度が10倍の新型電池
「今回の有機金属ポリマーを電極材料に使った新しいリチウムイオン電池というアイデアは2016年に思いつきました」と、今回の研究を発表したサンクトペテルブルク大学のオレグ・レビン氏は述べています。
これには2つの重要な要素がありました。
第1にこの化合物が、従来のリチウムイオン電池の主導対ケーブルを覆う保護膜として使用できる点。
第2に、これが電気化学的エネルギー貯蔵材料の有効成分として使用できる点です。
この材料の作成は、わずかなエラーで劣化してしまうため、安定した化合物を作るために、チームはかなりの数の試作品を作りましたが、その中で一つだけ、十分に安定して効率的なものが完成しました。
それは急速な酸化還元が可能でした。電池の材料が行う酸化還元反応は、すなわち充電と放電を意味しています。この材料は従来のリチウムイオン電池の10倍近い速さで充電を行うことが可能だったのです。
さらにこれまでの電池で使われていたコバルトベースとは異なるため、燃焼する危険性がなく、環境を汚染する金属の利用が大幅に減りました。
また低温でも安定して動作することができたのです。
これはリチウムイオン電池の課題となっていた問題をすべて克服しているように見えます。
しかし、問題も残っていました。
レビン氏の説明では、この電池は現在市販されているリチウムイオン電池と比べて、容量が30~40%も低下してしまうのです。
電池の大容量化が進む中で、これはかなり痛い欠点です。
そのため、チームは今後容量の改善に取り組んでいきたいと語っています。
近い将来、リチウムイオン電池の問題点をすべて克服した新しい電池が登場するかもしれません。