音波を使って六方晶ダイヤモンドの剛性を計測
最初に研究チームは、圧縮ガスと火薬を使って、1円玉ほどのグラファイトディスクを透明な素材に時速2万4000kmで飛ばしました。
この時に発生する衝撃波により、グラファイトは六方晶ダイヤモンドへと急速に変化。
この瞬間、研究チームは小さな音波を六方晶ダイヤモンドに向けて照射し、その中を通過する音波をレーザーで追跡しました。
その結果、六方晶ダイヤモンド内を通過する音波は、立方晶ダイヤモンド内を通過する音波よりも速く進むと判明。
音波は物質の剛性が高ければ高いほど、その中を速く進む性質をもっています。
そのため今回の結果から、研究室で人工的に作成した六方晶ダイヤモンドは、通常の天然ダイヤモンドよりも高い剛性を持っていると言えます。
ちなみに、この実験のプロセスは数十億分の一秒、つまりナノ秒単位で行われました。
研究者たちは、ダイヤモンドが衝撃で崩壊する前の一瞬で、剛性測定に成功したのです。
今回の研究では、短命な六方晶ダイヤモンドを引っ掻いて、硬度(傷つきにくさ)を測定することはできませんでした。
ただし研究チームによると、一般的に剛性(圧力に抵抗する力・変形しにくさ)が高い素材は硬度も高く、ダイヤモンドの剛性測定から、硬度も推測できるとのこと。
つまり、人工の六方晶ダイヤモンドが、一般的な天然ダイヤモンドよりも硬いと判明したことになります。
今後、科学の進歩により六方晶ダイヤモンドを回収できるようになれば、それは現在のダイヤモンド以上の機械加工手段となるでしょう。
「六方晶ダイヤモンド」の剛性が確認された今、多くの科学者がその生産により大きな力を傾けるはずです。