慢性的なストレスはエピゲノムを変化させ、性格を根本的に変えてしまう
研究チームによると、職場のストレスは最初に神経生物学的な短期的影響を与えるとのこと。
具体的には、私たちがストレスを感じると、脳の視床下部・下垂体、副腎、ドーパミン神経系、セロトニン神経系を介して短期的な生理反応が起こります。
そしてこの生理反応によって人格も短期的に変動。
ここまでは頻繁にあることで、「ストレスでどうかしていたよ」などと後から冷静に振り返ることもあるでしょう。
ただしストレスが慢性化すると、これら生理的負荷が時間経過とともにエピゲノム(遺伝子の発現を決める情報)を変化させるようになります。
エピゲノムが変化することで性格が根本的に変わってしまうのです。
スモールフィールド氏は、「今回の研究で興味深いのは、遺伝子発現が、人生のステージが変わったり環境が変わったりしたときに、変化するメカニズムをもっている点です。人は本当に順応性の高い生き物なのです」と述べています。
更に研究チームは、性格の変化が、軽度かつ慢性的な職場のストレスによっても引き起こされるおそれがあるとし、職場の環境を少し変化させるだけでも働く人々に大きな影響を与えると主張。
また同じ環境・仕事でも、性格特性によってプレッシャーを脅威的なストレスと感じるかどうかは異なるとのこと。
そのためチームは、性格テストを採用段階だけでなく、雇用期間中にも採用すべきだと提案しています。
結論として、職場のストレスとは全体的に大きいか小さいかという単純なものではなく、個人がどの程度のストレスを感じているか見極めることが大切だと言えます。
雇用者にとってこれは簡単なことではありません。しかし、個人の性格を根本的に変化させてしまうことを考えると、ストレス対処は急務であり必須なのです。