ミトコンドリアDNAが身長の高さや寿命などに関連してると判明!
かつて私たちの先祖には酸素呼吸能力がありませんでした。
しかし今からおよそ20数億年前、私たちの先祖は酸素呼吸をしていたミトコンドリアの先祖を細胞内部に取り込むことで、自らも酸素呼吸能力を獲得します。
そして現在に至るまで、ミトコンドリアは私たちの細胞が取り込んだ有機物と酸素を反応させてエネルギーを発生させる一種の燃焼炉として働き続けていました。
永きにわたって細胞の中で飼育されてきたミトコンドリアは独立した生物としてやっていくために必要なDNAを失ってしまいましたが、それでも独自の遺伝子を環状DNAの中に持っています。
しかしこれまでの研究では、ミトコンドリア病などの例外を除いて、ミトコンドリアの独自のDNAの変異が、糖尿病などの疾患と関係があるとは思われていませんでした。
しかしケンブリッジ大学の研究者たちは「違う」と考えました。
ミトコンドリアDNA量は細胞全体の0.1%に過ぎませんが、それでもさまざまな臓器の健康に影響を与える可能性があったのです。
そこで研究者たちはイギリス全土で35万人のミトコンドリアDNAを採取し、個人の健康状態との関連性を比較しました。
すると、意外な事実が判明します。
ミトコンドリアのDNAは糖尿病といったメジャーな病気の発生率にかかわるだけでなく、肝機能や腎臓機能、血球数、さらに身長や寿命といった要因に影響を与える可能性がありました。
この結果は、ミトコンドリアの小さなDNAが、私たちの健康に幅広くかかわっていることを示します。
しかし、なぜ全体の0.1%に過ぎないDNAが、ここまで大きな影響を持つのでしょうか?