「無限級数展開」とは?
次に、無限級数展開の例を見てみましょう。以下の二つが無限級数展開と呼ばれるものです。
$$\sin{x}=x-\frac{x^3}{3!}+\frac{x^5}{5!}-\frac{x^7}{7!}+\frac{x^9}{9!}-\cdots$$
$$\cos{x}=1-\frac{x^2}{2!}+\frac{x^4}{4!}-\frac{x^6}{6!}+\frac{x^8}{8!}-\cdots$$
(※「!」は階乗と呼ばれるもので、2!=2×1, 3!=3×2×1, 4!=4×3×2×1といった意味です)
左辺はsin(サイン)・cos(コサイン)という三角関数ですが、右辺は先ほど紹介した無限級数になっていますよね(右辺には引き算がありますが、引き算も「負の数を足している」と考えることができます)。
このように、何らかの関数や数を無限級数で表現することを「無限級数展開」と言います。
上記のような無限級数展開は、近似値を求めるときなどに利便性を発揮します。
例えば、x=0.1としてsin0.1の近似値を求めたい場合、右辺の式の途中までにx=0.1を代入して計算すれば良いのです。
$$\sin{0.1} = 0.1-\frac{0.1^3}{3!}+\frac{0.1^5}{5!} =0.099833416666666\cdots$$
実際、sin0.1の値は0.0998334166468…なので、かなり近い値が得られました。
また、上記二つの無限級数展開は「マクローリン展開」と呼ばれる方法で行っています。「マクローリン展開」も名前が必殺技のようでかっこいいですよね!
数学には、他にもまだまだ必殺技級のかっこいい用語がたくさん存在しています。『呪術廻戦』単行本8巻で、五条悟も「勉強は大事って話」と言っていることですし、これを機に、ぜひ数学を勉強してみてくださいね!
<注意>
教科書や数学書などでは「無限級数」を「数列の無限和」と定義することが多いですが、「関数列(関数を並べたもの)の無限和」も「無限級数」と呼ぶことがあります。今回紹介した三角関数のマクローリン展開は「関数列の無限和」ではありますが、この慣例にしたがって「無限級数」と表現しました。