なぜ肉食カタツムリを持ち込んだのか?
50年ほど前、タヒチを含むソシエテ諸島に、食用として栽培するためアフリカマイマイが持ち込まれました。
しかし、これが予想以上に繁殖し、島の生態系を乱してしまったのです。
そこで1974年に、今度はアフリカマイマイの個体数を減らす目的で、肉食性のロージー・ウルフ・スネイル(Euglandina rosea)を導入。
これが島固有のカタツムリの悪夢の始まりでした。
高いハント能力を持つロージー・ウルフ・スネイルは、またたく間に拡散し、ソシエテ諸島に分布する61種のカタツムリを食い散らし、壊滅させたのです。
残ったのは、シロポリネシアマイマイを入れて、わずか5種となりました。
その中でも特に小さくてか弱いシロポリネシアマイマイが生き残っているのは不思議でした。
本種の大きな特徴は、真珠のように真っ白な殻を持っていることです。
シロポリネシアマイマイの殻は、地元民にとって文化的に重要であり、その独特の色からレイやジュエリーに使用されています。
研究チームは「この白い殻が、ロージー・ウルフ・スネイルにとっては致命的となる太陽光を反射しているのではないか」と考えました。
そして、この仮説を検証するには、両種が1日に受ける光量を調べる必要があったのです。
そこで利用されたのが、世界最小のコンピュータでした。