宇宙で最初の星の光
宇宙はビッグバンと呼ばれる巨大な爆発によって始まりました。
この後、最初の星が誕生するまで宇宙は暗闇に包まれた暗黒時代を過ごします。
最初の星が生まれたのは、ビッグバンから2億年程度後だろうと予想されていましたが、宇宙最初の星の存在はまだ特定されていませんでした。
今回の研究チームは、現在知られているもっとも遠い銀河の6つを調べました。
研究チームは、ハッブル宇宙望遠鏡とスピッツァー宇宙望遠鏡によって記録された銀河からの星の光を分析しました。
彼らが着目したのは、光のエネルギー分布に見られる恒星大気中の水素原子の量でした。これにより銀河内の星の年齢を推定することができます。
宇宙最初の星は、主に最初に存在していた元素である水素を燃料に燃えています。
このため、最初の星が歳を取るにつれて水素の反応強度は増していきますが、銀河の年齢が10億年を超えると逆に弱まっていきます。
これは最初の星が、非常に重く急速に燃焼するため非常に短命で10億年程度でどんどん死んでいくからです。
このため、初期宇宙は最初の星々が次々に爆発する宇宙花火大会のような世界だったと考えられています。
こうした指標を使って測定すると、今回調査した銀河はどれも2億歳から3億歳程度だったと推測することができました。
さらにチームは、調査している銀河の宇宙論的赤方偏移を調査しました。
これは宇宙空間の膨張によって光の波長が伸びる現象で、十分に遠い銀河などが対象の場合、これをもとに調べている銀河の距離を推定することができます。
宇宙の距離の推定とはすなわち、調査している宇宙の年齢を推定することと同じ意味を持ちます。
地上の4つの大きな望遠鏡(チリのアタカマ大型ミリ波望遠鏡(ALMA)、欧州の超大型望遠鏡、ハワイのケック望遠鏡、ジェミニ南望遠鏡)を使って調査したところ、これらの銀河がある宇宙は、ビッグバンから5億5000万年の領域だとわかりました。
つまり宇宙誕生から5億5000万年後の世界を見ていることになるのです。
ここから銀河の年齢を差し引くことで、最初の星が宇宙に誕生した年代は2億5000万年~3億5000万年だったとわかったのです。