なぜ「ヒアリの筏」は沈まないのか?
南米を原産とする「アカヒアリ(学名:Solenopsis invicta)」は、一つのコロニーで約30万匹を擁する、ヒアリの中でも最大規模の種です。
彼らは地下トンネルの巣が浸水すると、互いに手をとりあって筏をつくり、数週間ほど水面を漂います。
ヒアリの体には水をはじく撥水作用があり、細かな毛の間に気泡を溜め込むことができます。
その一匹一匹が緊密に連結することで、気泡も大きくなり、いわば巨大な浮き輪になるのです。
2017年8月に、記録的なハリケーン「ハービー」がテキサス州を襲った際には、浸水した町にたくさんのヒアリの筏が現れました。
こちらがその様子。(※ムシが苦手な方はご注意ください)
一見、土の塊が浮いているようですが、よく見ると無数のヒアリがうごめいているのが分かります。
ヒアリの筏は自由自在に形を変えますが、それがどのように行われているのかは解明されていません。
そこで研究チームは、ヒアリの筏を撮影し、その生成や形状変化のようすを観察しました。