余命が計算できるオンラインツール
「Risk Evaluation for Support」と名付けられたツールは、在宅介護を受ける高齢者の変化するケアニーズを満たす目的で開発されました。
その目的は、自らの死のタイミングを知るということです。
厳密には自身の健康のリスクを計算するものですが、ツールは高い精度でその人の余命を予測します。
このツールは、カナダで2007年から2013年の間、在宅介護を受けていた49万1,000人の高齢者の「ビッグデータ」を利用しています。
ここには多数のリスク要因が集約されていて、高血圧60.8%、冠状動脈疾患26.8%、アルツハイマー病含む認知症23.4%の患者が含まれており、データの平均年齢は79.7歳で65%が女性です。
しかし、研究者が着目した死亡予測因子はこうした疾患ではありませんでした。
研究者によると、衛生状態、トイレの使用状況、歩行などの日常生活動作の能力低下の方が、病気よりもはるかに強力な6カ月以内の死亡率予測因子だったというのです。
研究者はこのツールを、43万5千9人の成人を対象としたコホートのデータに適用してみました。
すると評価開始から6カ月以内に死亡した12万2,823人を95%の信頼度で特定することができたのです。
ツールはあくまで、50歳以上の高齢者で、在宅介護を受けるなど虚弱な健康状態の人を対象としています。
しかし、自分自身のこととして考えた場合、がんのような特定の重篤な病に冒されているわけでもないのに、半年以内の余命を通知されたいと思うでしょうか?
このツールの意義は、倫理的に難しい要因を含んでいると言わざるを得ません。