DNAの老化スピードを測る時計を作成
研究チームはまず、DNAがどのように老化するかを理解するため、羊を用いて「エピジェネティック・クロック」を作成しました。
そもそも「エピジェネティクス」とは何でしょうか?
動物のからだは心臓や肺、皮膚など、色々な器官からなり、それぞれは別の細胞でできています。
細胞はどれも同じ遺伝情報をもっていますが、これが別々の細胞になれるのは、”使う遺伝子”と”使わない遺伝子”にマークをつけているからです。
このマークを調べるのが、エピジェネティクスになります。

その主なマークが「DNAメチル化」という遺伝子につく目印です。
DNAメチル化は、DNAの塩基配列の中のシトシン(C)に、メチル基(-CH3)という分子がくっつくことをいいます。
とくに、CG(シトシン・グアニン)の配列が集中する領域(=CpGアイランド)の7〜8割のシトシンはメチル化されており、メチル化された遺伝子は使うことができなくなるのです。
DNAメチル化は、哺乳類のような複雑なからだを作るには欠かせません。
そしてDNAメチル化のマークにもとづいて、生物の老化スピードや年齢を測定するもの、それが「エピジェネティック・クロック」です。
チームは、これをオスの羊、メスの羊、去勢されたオスの羊のそれぞれで作成しました。
果たして、結果はどうなったでしょうか。