ビスマス単原子層にはチューリング・パターンがあるのか?
発見の発端はまったくの偶然でした。
今回の研究チームの一員であるアメリカ・スタンフォード大学のアハロン・カピトゥルニック氏らは、2017年にビスマスの単原子層(原子が一層からなる物質)の製作に成功。
ビスマス単原子層の構造を原子レベルで観察すると、これまでに見たこのない奇妙な模様ができていました。
ビスマスの結晶は骸晶(がいしょう)と呼ばれる結晶面上が凹んだ形をしていることで有名ですが、非常に薄い層になった場合はその表面に1nm間隔の縞模様があったのです。
そしてこの模様を見た伏屋氏は、「これはチューリング・パターンではないか?」という発想を得ました。
しかしチューリング・パターンは生物学で研究されてきたものであり、固体物理学を対象とした過去の研究がありません。
また原子間に働く力を解析するのは容易ではなく、チューリング・パターンであることを証明するには大変な労力を必要とします。
しかし伏屋氏ら研究チームは、この研究を推し進めることにしました。
果たして研究の結果はどうなったのでしょうか?