睡眠の質こそが重要な要因
今回の研究の参加者は、実験前の睡眠時間は1日平均5時間半でしたが、実験の実施によって1日平均27分睡眠時間が増えました。
しかし、調査の結果、彼らは1日に平均31回も睡眠中に目が覚めていたこともわかり、参加者の睡眠の質が非常に悪いことも明らかとなりました。
ここで顕著なのは、睡眠の効率が著しく悪いということです。
頻繁に目が覚めるため、睡眠は大きく断片化されていて、深い眠りによる回復効果があまり得られていないのです。
今回の実験では、参加者の睡眠時間を増やすことができましたが、こうした睡眠の質に関する問題は解決されていません。
結果として、彼らの生産性の向上や幸福感など、睡眠時間から期待されるポジティブな効果はなにも見られなかったのです。
「逆にマイナスの効果が1つありました。
ベッドで過ごす時間が増えれば、他のことに使える時間が減るということです」
シルバッハ氏は研究から得られたデータについて、そのように述べています。
一方で、データ入力作業中に仮眠(昼寝)を許可された被験者たちは、いくつかの測定項目において良好な結果を示しました。
夜の睡眠時間とは対照的に、昼寝は生産性、認知機能、心理的幸福など、さまざまな項目を向上させたのです。
昼寝のこうした効果については、いくつもの明確な証拠を示す研究が他にも存在しています。
昼寝と夜の睡眠は、異なる効果を持っているのです。
ただ、昼寝を採用した被験者は1分あたりの労働生産性を向上させましたが、実働時間は短くなったため、結果的に総収入は昼寝をしなかった労働者と変わりませんでした。