混沌と秩序を融合させたガラス構造がダイヤモンドに傷をつける
開発されたAM-Ⅲはダイヤモンドと同じく、炭素(C)でできています。
そのため二酸化ケイ素(SiO2)を主成分とするガラスとは異なります。
そしてAM-Ⅲの最大の特徴は、非結晶の内部に結晶を含んだ材料だという点です。
基本的に原子が無秩序に並んでいますが、あるセクションでは原子が整列しており、この混沌と秩序の融合が材料を強固にしているとのこと。
つまりAM-Ⅲはダイヤモンドと同じ成分から成り立っていますが、構造の一部はガラスのようであり、また別の一部は結晶のようでもあります。
では、チームはどのようにダイヤモンドよりも強いアモルファス材料を生み出したのでしょうか?
彼らは人工ダイヤモンドの原料であるグラファイトの代わりに、フラーレンを利用しました。
フラーレンとは数十個の炭素原子で構成される同素体であり、サッカーボールのような形状をしています。
チームはこのフラーレンを約25GPaの圧力と1200℃の熱にさらしました。
ポイントは12時間かけて非常にゆっくりとこの条件に到達させることです。
すぐに高圧と高熱にさらしてしまうなら、アモルファス構造ではなくダイヤモンドになってしまうからです。
このようにして得られたガラスのような透明材料は、実際にダイヤを傷つけることがでました。
また防弾ガラスの20~100倍の強度をもつと考えられています。
さらに半導体でもあり、電子機器で使用される主要な半導体シリコンと同じ効果が見込めます。
硬いだけでなく、電子的属性も備えているため、将来的にはソーラーパネルの寿命を延ばすのに役立つと言われています。