ビールから数万種類の「未知の分子」が発見される
分析の結果、ビールから脂質、ペプチド、ヌクレオチド、フェノール類、有機酸、リン酸、炭水化物など、固有の質量と化学式をもつ約7700個のイオンが見つかりました。
しかもそのうち約80%は化学データベースに記載されていない未知のものだったのです。
そして1つの化合物には、最大25種もの分子構造の並び替えが含まれている場合があったそう。
つまり「数万種類の未知の分子を発見した」とも言えるのです。
研究チームも、「この研究では、数万種類のユニークな分子を含む、ビール全体の膨大な化学的多様性が明らかになりました」と述べています。
さらに、「分子の多様性は原料、加工、発酵に由来する」と付け加えており、アミノ酸と糖による「メイラード反応」によっても増幅されるとのこと。
このメイラード反応とは、肉を焼いたときの褐変やトーストやごはんのお焦げを形成するものであり、ビールの色や風味にも影響を与えます。
つまりビールの色や風味の違いは、これまで詳しく知られていなかった多種多様な分子によって生じていたのです。
今回の研究は、ビールの奥深さを明らかにするとともに、食品における「分子の複雑な反応の重要性」に焦点を当てるものとなりました。
今晩、食事とビールを楽しむのであれば、その背後にある膨大で複雑な分子を意識しながら味わってみてはいかがでしょうか。