超深部起源のダイヤモンドにも生物の遺骸が含まれていた
これまで分析が困難だった超深部大陸性ダイヤモンドですが、今回の研究はその分析に成功したといいます。
カーティン大学の地質学者リュック・デュッセ(Luc Doucet)氏が率いる研究チームは、超深部大陸性ダイヤモンドのコアが海洋性と同様のδ13C組成を持っていることを発見しました。
これは超深部大陸性ダイヤモンドが海洋性同様に、かつて生きていた生物の遺骸を含んでいることを意味しています。
生物由来の炭素は、当然のことながらもともとは地表に存在していた元素であることを意味しています。
「今回の研究は、地球のダイナミックな活動が有機炭素を地表から何百キロも離れた地球深部でダイヤモンドに変えていることを発見したのです」
デュッセ氏は、発見についてそのように説明します。
地球深部のマントルで形成されたダイヤモンドは、マントルプルームという流れによって地表に運ばれ、人間の目に触れることになります。
地球深部からリソスフェアまで運ばれた超深部起源ダイヤモンドの一部は、無機炭素のダイヤモンドに包まれたコアになってしまい、その同位体比はリソスフェア・ダイヤモンドと同じになってしまいます。
これが深部ダイヤモンドのδ13C組成が非常に変動しやすい原因となっていて、これまで分析を困難なものにしていたのです。
これは海洋と超深部大陸ダイヤモンドが、マントル遷移層を起源とするマントルプルームの輸送通路を共有していることを示しています。
研究の共同執筆者であるカーティン大学の李正祥(Zheng-Xiang Li / リ・ゼンシャン)教授は、次のように研究の意義を述べています。
「3つの主要なタイプのダイヤモンドすべてが、プレートテクトニクスによって駆動されるマントルプルームと、地球深部からの超大陸サイクル(超大陸の形成と分裂を繰り返すサイクル)にリンクされたのはこれが初めてです。
この研究は、すべてのダイヤモンドの形成と位置を説明するモデルを提供しました」
しかし、この研究はこれで終わりではありません。
李教授は、深さ600kmのマントル遷移層で形成される超深部ダイヤモンドが、なぜ有機炭素のみを利用していたのか、その理由が謎のままだと述べています。
新しい科学的発見が、より多くの謎を提起することは珍しいことではありません。
その疑問については、さらなる研究が明らかにしてくれるでしょう。