天然ダイヤモンドの起源
私たちにとって、ダイヤモンドは単にきれいな宝石ですが、科学者にとっては地球深部の情報や、地球内部の元素の循環を知るための重要な鉱物です。
ダイヤモンドは地球コアの5倍の圧力でも結晶構造が破壊されることがありません。
そんな天然ダイヤモンドには大きく分けて3つの種類があります。
1つは、地表150km~250kmの範囲にある岩石圏(リソスフェア)で形成された「リソスフェア・ダイヤモンド(lithospheric diamonds)」です。
これはもっとも一般的なダイヤモンドで、婚約指輪などに使われるのもこのタイプです。
大部分のダイヤモンドは、この深さのマントルの高温高圧によって形成され、マントルプルームという上昇流によって地表近くへ運ばれていきます。
そして、それより珍しい希少なタイプに、「海洋性ダイヤモンド(Oceanic diamonds)」と「超深部大陸性ダイヤモンド(super-deep continental diamonds)」があります。
海洋性ダイヤモンドは、海底の岩石に含まれるものを指します。
一方、超深部大陸性ダイヤモンドは、マントル遷移層(地下300km~1000km)という非常に深い場所で形成されたダイヤモンドを指します。
マントルと呼ばれる地球深部は地下120~150 km以深から始まっていて、人間はこのような深い場所まで地面を掘ったことはありません。
ちなみに、宇宙空間は地表(海抜)から約100kmより上、国際宇宙ステーションの軌道は約400kmです。
超深部大陸性ダイヤモンドとは、地球マントルの超深部、まさに宇宙より遠い場所で形成されたダイヤモンドなのです。
これまで海洋性ダイヤモンドと超深部大陸性ダイヤモンドはかなり構成が異なっていると考えられてきました。
その理由は、δ13C(デルタ・カーボン・サーティーン)と呼ばれる炭素同位体比の違いによって説明されています。
聞き慣れない用語ですがこの比率によって、炭素が有機物由来なのか、無機物由来なのか判断することができます。
過去の研究では、海洋性ダイヤモンドは、もともと生物の体内にあった有機炭素から形成されたと考えられています。
一方、超深部大陸性ダイヤモンドは、δ13Cの量が極端に変動していて、有機炭素でできているかどうか判断することが困難でした。