つかまえた13種中7種に水上移動能力があった
発見は突然訪れました。
日本の研究者が小川を通り過ぎようとしたとき、水面をうねりながら前進していく奇妙な毛虫を発見したのです。
しかもその種の毛虫(Dinumma deponens Walker)は、生涯に渡って陸上でのみ生活する蛾の幼虫であることが判明します。
驚いた研究者は鳥取県内の自然環境を探索し、13種類の蛾の幼虫を集め、水槽に落として同じような水上移動が行われるかを確認しました。
結果、13種中7種の幼虫に、水上で前進する能力があることが判明します。
また幼虫の水上での移動方法を調べたところ「あし」を使わずに、ヘビのように体をくねらせつつ、表面張力に支えられて水上を滑っていく様子が確認されました。
さらに驚くべきは、いくつかの種の水上移動速度が地上での歩行よりも圧倒的に早い点にあります。
研究者たちは、湿地の周辺に生える植物を食べて成長する幼虫には、常に水面に落下するリスクがあるため、水上移動能力をみにつけたのだと考えているとのこと。
もし水辺で毛虫やイモムシを見かけたら、観察してみると面白いかもしれません。
現在、日本国内に生息する毛虫やイモムシの水上移動力は詳細に解明されておらず、解明者は歴史に名を残せる可能性もあります。