植物によるデンプンの合成
植物は光合成によって、光と二酸化炭素、水を原料にエネルギーを作り出します。
そして、そのエネルギーを長期的に貯蔵するためにデンプンを形成し、種子や地下茎などに蓄えます。
お米や小麦、トウモロコシといった穀物はデンプンが主な成分で、私たちの食生活において欠かせないものです。
またデンプンは非常に用途が広い高分子で、食料品としての利用は以外にも、製紙用の糊(のり)や医薬品など工業製品へも幅広く利用されています。
そのためCO2を消費して生産できるデンプンの持続的な供給は、気候変動や食糧危機、資源確保といった人類のさまざまな課題をクリアしてくれる重要な戦略に位置づけることができるのです。
しかし、光合成のプロセスによるデンプンの合成は複雑で、このプロセスの理論的なエネルギー変換効率は約2%程度だといわれています。
現在、デンプンの生産には主にトウモロコシが利用されますが、その成長サイクルは100日以上であり、広大な土地が必要となる上、農薬や肥料も大量に消費する必要があります。
このため、植物生産を経由せずに、二酸化炭素からデンプンを合成する方法は、食糧危機や気候変動に対応する革新的な技術として活躍が期待できるのです。