人工的環境は生物の肉体を変えてしまう
今回の研究により、サケの目が養殖で小さくなることが示されました。
同様の養殖による目の縮小は、ギンザケとニジマスでも起きていることが知られています。
養殖場では大きな目を使ってエサを探したり天敵を避けたりする必要がなく、目の小さな個体の自然淘汰も、目の大きな個体の利点もないため、結果として野生よりも目が小さくなった、と研究者たちは考えています。
また目以外にも、養殖されている魚は脳のサイズも小さくなる傾向があることが知られています。
人工的環境は、生物にとって有利な環境を提供するため、野生で生きるために必要な能力が失われていくからだと考えられます。
近年の研究により、私たち人類も、人工的環境を自ら作り出した結果、狩猟採集生活を送っていた頃にくらべて脳のサイズが縮小していることが判明しています。
また出産時に帝王切開の選択をする人が増えたために、骨盤のサイズも低下する傾向にあるとのこと。
もし将来、養殖場のサケの目や他の養殖魚の脳を野生と同じサイズに戻す方法がみつかれば、人間に起きた自己家畜化による変化も解消できるかもしれません。