胎児の心臓の特徴は生後2日以内になくなる
胎児の特徴だった卵円孔と動脈管は、赤ちゃんの呼吸と同時に変化します。
2010年の同じ研究によると、肺が膨らんで低圧状態になると、卵円孔は閉じてしまうようです。
これにより右心房と左心房の通路が消え、ほとんどの血流が右心室を通して肺に流れ込むようになるのです。
一方、動脈管については生後少しの間は失われません。
肺の低圧状態によって新しい血流の経路ができると、動脈管はもはや必要ありません。
そのため動脈管は徐々に収縮し始め、生後2日以内には閉じてしまうようです。
この時点で初めて、赤ちゃんの全身から帰ってきた血液の100%が、肺を経由することになるのです。
ちなみに、生まれたばかりの赤ちゃんの肌がピンク色になって、いわゆる「正常な状態」だと判断されるには約5分かかります。
しかし血液の循環経路の移行は、文字通り「一息のうちに」起こっているのです。
小児病院のある医師は、その一瞬の移行について「まさに魔法のような瞬間だ」と述べています。
赤ちゃんの誕生はよく奇跡に例えられますが、呼吸と血液の循環を見ても、やはり奇跡的な瞬間だと言えるのですね。