人間性を破壊するロボトミー手術がノーベル賞をとった理由
人間性を破壊するロボトミー手術がノーベル賞をとった理由 / Credit:Canva
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人間性を破壊するロボトミー手術がノーベル賞をとった理由 (3/3)

2021.10.15 00:00:00 Friday

前ページロボトミーは一部では「お金」のために行われていた

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復活する脳への直接的なアプローチ技術

電極を用いてうつ病を治す試みが行われている
電極を用いてうつ病を治す試みが行われている / CreditPersonalized Deep Brain Stimulation Therapy (DBS), UC San Francisco (UCSF)

現在、前頭葉全体を対象にするようなロボトミー手術は、非人道的として行われていません。

しかし当時の医学水準からすれば、ロボトミー手術にノーベル賞が与えられたのは、わからなくもありません。

当時の精神病は、日本ならば「狐憑き」西洋であれば「悪魔憑き」きなどの言葉に代表されるように、人間に手が出せない領域だと考えられていました。

ですがロボトミーの開発によって、精神病は神や悪魔の領域から人間が操作し得る「医学」に変化し、人々の意識は大きく変わったのです。

ロボトミー手術が現在だけでなく当時であっても人道的に問題があると認識されていたのは事実です。

また医学的効果以外に、患者を管理する病院の意向がロボトミー手術を押し広めたのも間違いないでしょう。

ただ、一面的にロボトミーを全否定していては、当時の人々がなぜ重大な副作用を無視してまで、ロボトミー手術に熱狂したのかは理解できないままです。

誰もが称賛するノーベル賞をとった素晴らしい技術が、重大なリスクをかかえているかもしれない可能性は、現代にも当てはまるからです。

ロボトミーへの熱狂的支持から熱を奪った冷静さを学んでいなければ、人類は同じ過ちを繰り返す確率は格段に高くなるでしょう。

一方で、近年、に対して影響を与えて精神状態を改善するというアイディアは再び見直されるようになってきました。

もちろん、過去のロボトミーのような人格を破壊する手術ではありません。

てんかんなど命にかかわる激しい脳の症状に対して、脳に埋め込んだ電極から電気刺激を行うことで、症状を抑制するのです。

また最新の研究では、うつ病患者の脳で快楽と喜びを発生させるポイントに電極を刺し込み、うつ病の兆候を察知する制御チップによって自動的に電気刺激することで、患者のうつ病をほぼ完璧に抑え込むことに成功したと報告されています。

脳に埋め込んだ電極で「うつ状態」から「喜びに満ちた状態」へ感情を移行させることに成功

精神外科は流行の山と禁忌の谷を越えて、再び人々の前に有望な技術として現れつつあります。

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人間性を破壊するロボトミー手術がノーベル賞をとった理由 (3/3)のコメント

ゲスト

そしてまた取り返しのつかない失敗をして黒歴史を積み重ねると…。
最近も銀の弾丸と言われている技術がありましたね、ノーベル賞も取りましたし。
銀の弾丸ではなかったようですが…。

ゲスト

現在の医療従事者ですら特に感染症はは未だに正しくない知識でいる
例えばエイズ患者への偏見
c型肝炎より感染力は低いのに受け入れを拒否する医療機関は多くある
もっと近い例では新型コロナ
多くの診療所は患者の受け入れ拒否し、大病院でも補助金を出すまでは受け入れなかったどころか、補助金のために病床だけ開けて実際は受け入れなかったまである
もっと前にはハンセン病や血液製剤がらみで多くの失策はあるが、現代でもロボトミーみたいな話は起こりうるだろう

でっちあげ疑惑

うつ病とされる類に対する医療は、都合上の成立により、知らず知らずのうちに人権を侵害される
かのうように、治療が進むことがあり得るのでは
むやみやたらに薬漬けにされるなど
取り返しがつけばいいが、医師も本人も気づかずその方向へ向かっているケースは怖い
実際、薬による見かけ上の問題解決があったとしても
どうするのがいいのか
うつ病患者の性質として、侵害されやすい何かを持ってる可能性もある
都合により、気づかなかったことを、気づかなかっただけでなく本当に弊害はなく正しい診断だとすることも
医者が正しいとせざるを得ない社会の在り方でもある気がする
通常はそれが上手く回るはずなんで
許されちゃうのが医者の特権で、許されちゃってること自体も社会が容認せざるを得ない感

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