仲間回路を遮断すると嫌いなはずのサルにプレゼントするようになる
利己と利他がうずまく「円卓のサル」の脳では何が起きていたか?
研究者たちはサルの行った行動の種類にあわせて、500本の電極がキャッチした500個の脳細胞の活動パターンを比較しました。
結果、極が刺し込まれた背内側前頭前野(dmPFC)の細胞は、特定のアクションと結果に連動して活性化していました(たとえば、リンゴをプレゼントされたという結果に反応する細胞グループ)。
また細胞の多くは、目の前で行われている行動や結果だけでなく、他のサルたちの過去の行動に関する情報もコード化して保存していました。
また全ての細胞の活動を総合的に分析することで研究者たちは、卓を回す権利を得たサルが次にどのような行動を起こすか(どちらのサルにプレゼントを与えるか・または報復を行うか)を70%の精度で予測できるようになりました。
この結果は背内側前頭前野(dmPFC)がサルの「仲間回路」を内包していることを示します。
なおマウスでは、仲間に反応して助けようとする回路が発見されています。
しかしより興味深い結果は、電極を使ってプレゼントの授受が行われるときに活性化する背内側前頭前野(dmPFC)を電気刺激で遮断したときに起こりました。
仲間とのプレゼント授受にかかわる背内側前頭前野(dmPFC)の機能を遮断されたサルは、プレゼントを往復させる頻度が減るだけでなく、細胞の活動から予測されるのとは逆の行動パターンをとり、本来は嫌いだったサルにプレゼントをする頻度が増えていたのです。
研究者たちは今後、この脳領域の機能を直接的・間接的に制御することで、人間関係を円滑にするような薬を開発できると考えています。
もしかしたら未来の世界では、誰もが陽キャとなれる薬で、交友や恋愛を楽しんでいるかもしれませんね。