「しんだふり」の解明に挑む
捕食者に食べられそうになっている動物がとる行動はさまざまです。
ですがおおむねはRPGのコマンドのように
「たたかう」
「ぼうぎょ」
「スキル」
「にげる」
の4択が主にとられます。
「たたかう」は文字通り、自ら攻撃を仕掛け、捕食者を退散させます。
「ぼうぎょ」はカメやハリネズミが行う戦術で、捕食者の攻撃を防ぎます。
また「スキル」はスカンクが得意とする「くさいおなら」やタコやイカが使う、すみによる「めくらまし」があげられます。
そして「にげる」は文字通り、素早さを駆使して逃げ出します。
しかし、自然界はゲームよりも厳しく、4択のどれもが有効ではない捕食者が存在します。
絶望的な力量の差に対して、RPGの勇者ならばレベルを上げて物理で殴れば解決するかもしれませんが、現実はそうもいきません。
そこでいくつかの種は、絶望的な状況に対して「しんだふり」を行うようになりました。
捕食者の多くは動く相手に反応して攻撃する本能を持っているほか、動かなくなった死体を食すのを避けようとします。
死体を避けるのは、腐敗して状態が悪くなったものを食べるのを避ける本能の一種です。
結果「しんだふり」は捕食者に対して有効な生存戦略として機能してきました。
しかし虫や獣が「しんだふり」を獲得するさいに、どんな遺伝子に変化が起きたかは十分に解明されていません。
そこで今回、東京農業大学の研究者たちは謎につつまれた「しんだふり」の秘密に挑むことにしました