ネコは飼い主の位置を把握できていた
実験には、合計50匹の飼い猫が参加。
まずドアと窓があるテストルームにネコを1匹ずつ配置します。
ドアと窓は4m離れており、それぞれにスピーカーが設置されました。

そして実験が開始されると、スピーカーから次のパターンで音声を流し、ネコの反応を観察しました。
- ドアから飼い主の音声が流れ、その2.5秒後、再び同じドアから飼い主の音声が流れる
- ドアから見知らぬ人の音声が流れ、その2.5秒後、再び同じドアから見知らぬ人の音声が流れる
- ドアから飼い主の音声が流れ、その2.5秒後、今度は窓から飼い主の音声が流れる
- ドアから見知らぬ人の音声が流れ、その2.5秒後、今度は窓から見知らぬ人の音声が流れる
50匹分の実験を繰り返した結果、①②④のケースでは、ネコは特に驚いた様子を見せませんでした。
ところが、③のケースだけ、ネコは強く驚いた様子を見せたのです。
このことは、ネコが飼い主の声を聞き分け、その位置を追跡・把握する能力があることを示唆しています。
ネコからすると、「ドアの向こうにいた飼い主が、窓の外へテレポートしたように感じた」ことでしょう。

また別の実験では、スピーカーからネコの音声や電子ノイズを流しましたが、ネコがそれらの「音声テレポート」に強く驚くことはありませんでした。
高木氏は、ネコの音声に反応しなかった理由について、「ネコ同士の識別は声ではなくニオイなのかもしれない」と推測しています。
さて、今回判明したネコのトラッキング能力からすると、飼い猫は私たちの居場所をいつも把握していると言えます。
しかし、これまで飼い猫たちは、私たちの存在を気にするようなそぶりをあまり見せてきませんでした。
新しい研究によって、ネコたちのツンデレ具合がますます暴かれているようです。