緑の葉をバックに、こちらを見つめる黒い毛のゴリラの大きな顔と肩 No.0040

ナゾロジー図鑑 ・ 生き物

ゴリラ

Gorilla

霊長類でいちばん大きく、食べものはほとんど植物。
胸をたたくドラミングで、争わずに力を伝える。

ナゾロジーの記事
24本
野生のおとなのオスの体重
136〜227kg
野生での寿命
35〜40年

ゴリラは、アフリカの赤道に近い森にすむ、霊長類でいちばん大きな類人猿です。ヒトと同じヒト科に入り、ニシゴリラとヒガシゴリラの2種がいます。植物を中心に食べ、シルバーバックと呼ばれるおとなのオスを中心に群れでくらします。

図鑑データ

分類
哺乳類 › 霊長目(サル目)› ヒト科 › ヒト亜科 › ゴリラ属
学名
Gorilla(ゴリラ属)。ニシゴリラ Gorilla gorilla と、ヒガシゴリラ Gorilla beringei の2種
英名
gorilla(ゴリラ)
漢字
大猩猩(昔の書き方)
種類
2種4亜種:ニシローランドゴリラ・クロスリバーゴリラ(ニシゴリラ)、マウンテンゴリラ・ヒガシローランドゴリラ(ヒガシゴリラ)
大きさ
野生のオスは立った高さ1.4〜1.8m・体重136〜227kg、メスは1.25〜1.5m・68〜113kg。オスが両腕を広げると2.3〜2.6m
すみか
アフリカの赤道に近い地域の森(低地の熱帯雨林や沼地から、標高4,300mまでの山地の森)
日本では
野生にはいない。動物園でニシローランドゴリラが飼育されている(2025年5月15日の時点で6園19頭)
食べもの
葉・茎・髄・新芽・果実などの植物が中心。アリやシロアリなどの昆虫も食べる
群れ
おとなのオス(シルバーバック)1頭と、何頭かのメス、その子どもたちが基本。オスが何頭もいる群れもある
寿命
野生でふつう35〜40年。飼育下ではまれに50年以上
保全状況
IUCN レッドリストで2種とも「近絶滅種(CR)」。亜種のマウンテンゴリラは「絶滅危惧種(EN)」

ゴリラとは(何類?何科?)

ゴリラは、アフリカの赤道に近い森にすむ、大きな類人猿(るいじんえん)です。哺乳類の霊長目(サルのなかま)のうち、ヒトやチンパンジー、オランウータンと同じ「ヒト科」に入ります。今生きている霊長類の中で、いちばん大きな動物です。

くらしの多くを地面の上ですごし、食べものはほとんどが植物です。群れでくらし、群れのリーダーのおとなのオスは、背中の毛が銀色になることから「シルバーバック」と呼ばれます。

ゴリラにいちばん近いなかまは、チンパンジー属(チンパンジーとボノボ)とヒトです。ゴリラの祖先は、約1000万年前に、ヒトやチンパンジーにつながる系統から分かれたと考えられています。ヒトとゴリラで対応する遺伝子をくらべると、その並び(配列)のちがいは平均1.6%です。なかまのチンパンジーやサルについては、それぞれの項目で紹介しています。

ゴリラの種類(ニシゴリラとヒガシゴリラ)

ゴリラ属(Gorilla)は、ニシゴリラとヒガシゴリラの2種に分けられ、それぞれに2つの亜種(あしゅ。同じ種の中で、地域ごとに少しずつ特徴がちがう集団)がいます。2種のすむ地域は、コンゴ川とその支流によって分けられています。

  • ニシゴリラ(Gorilla gorilla):アフリカ中西部にすみます。中央アフリカの低地の森に広くすむ「ニシローランドゴリラ」と、ナイジェリアとカメルーンの国境近くの、低地から山地の森にすむ「クロスリバーゴリラ」の2亜種です。世界の動物園で飼われているゴリラは、ほとんどがニシローランドゴリラです。
  • ヒガシゴリラ(Gorilla beringei):アフリカ中部の東側にすみます。山地の森にすむ「マウンテンゴリラ」と、コンゴ民主共和国の東部にすむ「ヒガシローランドゴリラ(グラウアーゴリラ)」の2亜種です。ヒガシゴリラはニシゴリラより毛の色が濃く、顔が長く、胸が広いとされます。

アフリカ中部の地図。西側に黄緑とオレンジ、東側に紺と青緑の色がぬられ、そのあいだを白い線の川が流れる
ゴリラの4つの亜種のすむ地域写真: Textbook Travel(元の地図: Fobos92)(CC BY-SA 4.0) / Wikimedia Commons

木の枝の前で、赤茶色の頭の毛をした灰色のゴリラが、顔を少しかたむけてこちらを見ている
熱帯雨林のニシローランドゴリラのオス写真: JosepMGracia(CC BY-SA 4.0) / Wikimedia Commons

草のあいだから顔を出す、黒い顔と白っぽい背中のゴリラ
ヒガシローランドゴリラのシルバーバック写真: Joe McKenna(CC BY 2.0) / Wikimedia Commons

大きさと体のつくり(何キロ?)

ゴリラは、オスとメスで大きさがかなりちがいます。野生のおとなのオスは体重136〜227kg(ふつうは150〜180kgほど)、メスは68〜113kg(ふつうは80〜100kgほど)で、オスはメスの約2倍の重さです。立ち上がったときの高さは、オスで1.4〜1.8m、メスで1.25〜1.5mほどです。オスが両腕を広げると、はばは2.3〜2.6mにもなります。

野生で記録された中でいちばん重いのは、カメルーンでしとめられた体重267kgのオスです。飼育されているオスは、太りすぎで310kgに達することもあります。一方、生まれたばかりの赤ちゃんは、体重1.8kgほどしかありません。

  • シルバーバック:オスは13歳ごろになると、背中の毛が鞍(くら)のような形に白っぽくなり、「シルバーバック」と呼ばれるようになります。8〜12歳ぐらいの、まだ背中が銀色でない若いオスは「ブラックバック」と呼ばれます。
  • 頭と歯:おとなのオスの頭のてっぺんには、骨のでっぱり(矢状稜〔しじょうりょう〕)が発達し、頭がとがって見えます。マウンテンゴリラでは、ここにあごを動かす強い筋肉がついています。オスの犬歯は、おとなになるにつれて大きく発達します。
  • 毛の色:体は黒や暗い灰褐色の毛におおわれています。ニシローランドゴリラの毛は茶色や灰色がかり、頭の毛が赤っぽくなります。マウンテンゴリラの毛はほかのゴリラより厚く長めで、寒い山でもくらせます。
  • 指紋と鼻:人と同じように、1頭ずつちがう指紋があります。鼻の形やしわの模様(ノーズプリント)も1頭ずつちがい、個体を見分ける手がかりになります。
森の落ち葉の上に4本足で立つ、背中が銀色の大きなゴリラを横から見たようす
背中が銀色のシルバーバック写真: flowcomm(CC BY 2.0) / Wikimedia Commons

ふだんは、前足(手)をにぎりこぶしのようにして地面につく「ナックルウォーキング」で、4本足で歩きます。食べものを運ぶときや身を守るときには、短い距離を2本足で歩くこともあります。ウガンダのブウィンディ原生国立公園で77頭のマウンテンゴリラを調べた2018年の研究では、ナックルウォーキングは全体の60%で、ほかにこぶしや手の甲、手のひらなどでも体重をささえていました。

ゴリラは地上でくらす類人猿と考えられてきましたが、2025年の研究では、ブウィンディやガボンのロアンゴ国立公園のゴリラは、ヴィルンガ山地のゴリラより木に登る時間が長いことが分かりました。どの地域でも、おとなのメスはオスより木の上ですごす時間が長くなっていました。

森の地面の上を、2本足で立って歩く黒い毛の子どものゴリラ
2本足で歩く子どものマウンテンゴリラ写真: flowcomm(CC BY 2.0) / Wikimedia Commons

体の色が白い「アルビノ(生まれつき色素が少ない体質)」のゴリラとして知られているのが、赤道ギニアの野生で生まれ、1966年にスペインのバルセロナ動物園に来たオスの「スノーフレーク(コピート・デ・ニエベ)」です。40年近く動物園でくらしました。2013年にゲノム(全遺伝情報)を調べた研究で、アルビノの原因となった遺伝子の変化が見つかり、両親が血縁どうしだったことも分かりました。

ロープや木の枝のある部屋で、白っぽい毛のゴリラが台に手をついて立っている
アルビノのゴリラ「スノーフレーク」写真: Ettore Balocchi(CC BY 2.0) / Wikimedia Commons

ナゾロジーでくわしく世界で唯一のアルビノゴリラ「コピート」の生涯

どこにいる?(すむ国と森)

ゴリラは、アフリカの赤道に近い地域の、熱帯や亜熱帯の森にすんでいます。すむ範囲はアフリカのごく一部ですが、低地の沼地の森から、高い山の森まで、さまざまな高さの場所にいます。

  • ニシローランドゴリラ:カメルーン、中央アフリカ共和国、コンゴ共和国、コンゴ民主共和国、赤道ギニア、ガボン、アンゴラ(カビンダ)の、低地の森や沼地、山地の森。
  • クロスリバーゴリラ:ナイジェリアとカメルーンの国境近くの、森におおわれた丘や山地。
  • マウンテンゴリラ:ウガンダ・ルワンダ・コンゴ民主共和国の国境にまたがるヴィルンガ山地(標高2,200〜4,300m)と、ウガンダのブウィンディ原生国立公園の2か所。
  • ヒガシローランドゴリラ:コンゴ民主共和国の東部の山地の森(カフジ=ビエガ国立公園など)。

アフリカのほかに、野生のゴリラはいません。日本で見られるのは、動物園のゴリラだけです。

日本ではどこで見られる?(動物園)

日本にゴリラが初めてやって来たのは1954年です。1970年には、京都市動物園が、国内で初めてゴリラの飼育下での繁殖に成功しました。

日本の動物園にいるのは、ニシローランドゴリラです。2025年5月15日の時点で、国内では6つの園で19頭(オス10頭、メス9頭)が飼育されていて、恩賜上野動物園(東京都)、千葉市動物公園、東山動植物園(名古屋市)、京都市動物園などで見ることができます。国内では血縁のないゴリラが少なくなっているため、動物園どうしで協力し、ゴリラを移動させながら繁殖に取り組んでいます。

建物の壁ぎわで、何頭かのゴリラが立ったりすわったりしている
東山動植物園のニシローランドゴリラ写真: KKPCW(CC BY-SA 4.0) / Wikimedia Commons

何を食べる?(バナナは食べる?)

ゴリラは、植物を中心に食べる雑食です。葉、茎、髄(ずい。茎のしんの部分)、新芽、果実のほか、アリやシロアリなどの昆虫も食べます。1日は、休む時間と、移動したり食べたりする時間に分かれています。

  • マウンテンゴリラ:おもに葉や茎、髄、新芽を食べますが、地域や季節によっては果実を多く食べることもあります。シロアリのいない高い山では、植物についたダニやクモをいっしょに食べて、動物性の栄養をおぎなっていると考えられています。
  • ローランドゴリラ:低地のゴリラは果実をよく食べます。ニシローランドゴリラは、ほかのゴリラよりも果実にたよっていて、1日に平均1,105mと、ほかの亜種より長い距離を歩きます。一部の地域では水草も食べます。
緑の葉に囲まれて、手に持った細い草のつるを口にくわえるゴリラの顔
植物を食べるシルバーバック写真: Giles Laurent(CC BY-SA 4.0) / Wikimedia Commons

水分の多い植物を食べるので、ゴリラが水を飲むことはめったにありません。

ゴリラがたくさん食べる葉には、タンパク質が多くふくまれます。ウガンダのマウンテンゴリラを調べた2011年の研究では、葉を多く食べる時期には、食べものにふくまれるエネルギーに対するタンパク質の割合が、人にすすめられる上限に近く、人の高タンパクのダイエット食と同じくらいでした。果実を多く食べる時期には、その割合は人にすすめられる程度でした。

ゴリラはバナナを食べる?

コンゴ民主共和国の東部にすむヒガシローランドゴリラは、バナナの実は食べませんが、バナナの木(草)をこわして、中の栄養のある髄を食べることがあります。

毎晩、寝床(ベッド)をつくる

ゴリラは昼に活動し、夕方になると、枝や葉を集めて寝床(ベッド)をつくって眠ります。寝床は1頭ずつ自分でつくり、同じ場所にとどまるときでも、前の寝床は使いません。チンパンジーやオランウータンとちがい、地面の上に寝床をつくることが多いのが特徴です。子どもは母親と同じ寝床で眠り、3歳をすぎると自分の寝床をつくりはじめます。眠る時間は1日平均12時間と、人より長めです。

木のまたに、折り曲げた枝や枯れ葉が集まって、皿のような形になっている
ニシローランドゴリラの寝床写真: Jefe Le Gran(CC BY 2.0) / Wikimedia Commons

群れのくらしとシルバーバック

ゴリラは、ふつう1頭のおとなのオス(シルバーバック)と、何頭かのおとなのメス、その子どもたちからなる群れでくらします。オスが何頭もいる群れもあり、マウンテンゴリラでよく見られます。群れの大きさは、ニシゴリラではふつう2〜20頭ほどで、ヒガシゴリラでは30頭をこえる群れもあります。

シルバーバックは群れの中心です。群れの行き先を決め、えさ場に案内し、なかまどうしのもめごとをおさめ、群れの安全に責任をもちます。群れがヒョウや人などにおそわれたときには、自分の命をかけてでも群れを守ります。

オスもメスも、おとなになると生まれた群れを出ていくことが多く、オスはやがて自分の群れをつくります。オスが1頭だけの群れでシルバーバックが死ぬと、メスと子どもは散らばって新しい群れをさがすことが多いですが、まとまって残り、新しいオスが加わるのを待った例もあります。

母親をなくした子どもは、群れのなかまにささえられます。マウンテンゴリラを調べた2021年の研究では、乳ばなれのあとに母親をなくした子どもでも、生きのびる割合や、はじめて子を産む年齢などに、目立った不利は見られませんでした。母親をなくしたあとは、群れの順位の高いオスや、年の近いなかまとの結びつきが強くなっていました。

ナゾロジーでくわしくボスゴリラは孤児を養子にして、直々に面倒を見ることが判明!「母なしのデメリット」を家族でカバーしていた

ドラミング(なぜ胸をたたく?)

ゴリラが立ち上がり、手のひらをお椀のように丸めて胸をたたく行動を「ドラミング」と呼びます。かつては、戦いの宣言やちょうはつと考えられていました。霊長類学者の山極寿一さんによると、胸をたたいて自分を主張し、ぶつかり合わずにたがいの距離をとるための行動です。

ドラミングは、ゴリラだけに見られる「ディスプレイ(見せる行動)」の一部でもあります。だんだん速くなる鳴き声、食べるふりをする、立ち上がる、草木を投げる、胸をたたく、片足でける、横向きに走る、草木をたたいて引きさく、手のひらで地面をたたく、という9つの流れで、本当の取っ組み合いにならずに相手をおどすはたらきがあります。

2021年の研究では、野生のマウンテンゴリラのおとなのオスのドラミングの音を録音して調べました。すると、体の大きなオスほど、音の高さ(いちばん強い音の周波数)が低いことが分かりました。ドラミングの音は、相手に自分の体の大きさ、つまり強さを正直に伝える合図になっていると考えられています。

本当はおだやか(なぜ優しいといわれる?)

ゴリラは、発見されてから長いあいだ、どう猛な動物だと誤解されてきました。映画『キング・コング』(1933年)などでも、残忍でおそろしい動物として描かれています。けれども、ジョージ・シャラーやダイアン・フォッシーが野生のマウンテンゴリラを長く観察し、とくにフォッシーの研究の発表によって、「ゴリラは暴力的だ」という思いこみをふくむ多くの誤解がくつがえされました。

群れの中では、はげしい争いはめったに起きず、もめごとの多くは、ドラミングなどの「おどし」で決着します。マウンテンゴリラは、力は強いものの、ふだんはおだやかで、とても臆病な動物とされます。ただし、2つの群れが出会ったときには、シルバーバックどうしが犬歯で深い傷を負わせ合い、死ぬまで戦うこともあります。

ナゾロジーでくわしくゴリラたちが夢中で「カメレオン」に魅入る映像を撮影【映像あり】

ゴリラの天敵は?

ゴリラをおそう動物としては、ヒョウが知られています。ヴィルンガ山地でシルバーバックがヒョウに殺された報告や、ヒョウのふんからゴリラの骨が見つかった例があります(ふんの骨は、死体を食べたものかもしれません)。なお、トラはアジアにすむ動物なので、野生のゴリラと出会うことはありません。

チンパンジーとの関係

ゴリラがすむ地域の多くには、チンパンジーもすんでいます。コンゴ共和国のンドキの森での20年にわたる観察などをまとめた2022年の研究では、2種のかかわりは、遊びから命をうばう攻撃まで、これまで思われていたよりさまざまでした。いちばん多かったのは、食べものを食べているときのかかわりで、特定のチンパンジーとゴリラの組のあいだで、くり返し見られる関係もありました。

一方、ガボンのロアンゴ国立公園では、チンパンジーの群れがゴリラをおそい、ゴリラの子どもが殺された例が2回記録され、2021年に初めて報告されました。どちらも、チンパンジーの数がゴリラよりずっと多い状況でした。

ナゾロジーでくわしく野生のチンパンジーとゴリラは「長期にわたる社会関係」を築いていた

頭のよさ(道具・声・ことば)

ゴリラは、とても頭のよい動物と考えられています。ほかの大型類人猿と同じように、笑ったり悲しんだりする豊かな感情をもち、家族と強いきずなを結びます。地域によって食べものの扱い方などがちがい、「文化」をもつことも示されています。

野生のゴリラも道具を使う

野生のゴリラが道具を使うようすは、2005年に初めて報告されました。コンゴ共和国北部の湿地で、おとなのメスが、枝をつえのように使って水の深さを確かめながら、池をわたろうとしたのです。別のメスは、細い木の幹を、食べものをとるときの支えにしたあと、深い沼地をわたる橋として使いました。ほかの大型類人猿の道具使いは食べものをとるためのものが多いのに対し、ゴリラでは、すむ場所の環境が道具使いのきっかけになりうることを示した例です。

同じ2005年の9月には、コンゴ共和国の保護区で、2歳半のゴリラが石を使ってヤシの実を割るようすも観察されています。

水たまりの中で、ゴリラが片手に長い枝を持ち、2本足で立って進むようすを写した6枚の連続写真
枝で水の深さを確かめるメス写真: PLoS Biology「Wild Gorillas Handy with a Stick」(2005)(CC BY 2.5) / Wikimedia Commons

声とことば

ゴリラは、25種類ほどの声を使い分けます。移動中のうなり声や吠え声で、深い草むらの中でもたがいの居場所を知らせ合い、満足したときにはゴロゴロという低い声を出します。食べているときに、鼻歌のような声を出すことも知られています。人に育てられたゴリラの中には、アメリカの「ココ」のように、手話の一部を教えられたものもいます。

アメリカのアトランタ動物園では、くしゃみとせきの中間のような、ゴリラがふつう出さない声で、飼育員の注意を引くゴリラたちがいました。2022年に8頭を調べた研究では、この声は「飼育員が食べものを持っている」ときにいちばんよく使われていて、ほかの動物園のゴリラでも同じ声が見つかりました。ゴリラが、自分から新しい声を生み出せることを示す、数少ない例の一つです。

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寿命と子育て(何年生きる?)

野生のゴリラの寿命は、ふつう35〜40年とされます。飼育下では、まれに50年以上生きることもあります。アメリカのコロンバス動物園で1956年に生まれたメスの「コロ」は、飼育下で生まれた初めてのゴリラで、60歳まで生きました。記録に残るゴリラの中でいちばん長生きとされるのは、1957年ごろに生まれたと推定されるメスの「ファトゥ」です。

メスは10〜12歳(飼育下ではもっと早く)、オスは11〜13歳でおとなになります。一年中交尾をし、妊娠期間は約8か月半(平均256日)です。マウンテンゴリラでは、メスは10歳ごろに初めて子を産み、次の子を産むまでの間隔は3〜4年です。

赤ちゃんは、生まれてから5か月ほどは母親とずっとくっついてすごし、少なくとも1時間に1回お乳を飲み、母親と同じ寝床で眠ります。1歳までに母親から5mほど離れられるようになり、3〜6歳のころに乳ばなれして、母親とは別の寝床で眠るようになります。シルバーバックは子どもの世話を積極的にはしませんが、群れの中の攻撃から子どもたちを守り、遊び相手にもなります。

草の上にすわったゴリラの母親が、ひざもとに小さな赤ちゃんを抱いている
赤ちゃんを抱くマウンテンゴリラ写真: Charles J. Sharp(CC BY-SA 4.0) / Wikimedia Commons

ナゾロジーでくわしく野生のマウンテンゴリラに「極めて稀な双子」が誕生

名前の由来と人とのかかわり(なぜ絶滅危惧種?)

「ゴリラ」ということばは、紀元前500年ごろ、アフリカの西の海岸を航海したカルタゴの航海者ハンノの記録に出てきます。ハンノの一行は、体が毛深い人びとの集団に出会い、通訳がそれを「ゴリラエ(Gorillae)」と呼びました。この人びとが本当にゴリラだったのかは分かっていません。英語では gorilla(ゴリラ)と書き、学名の種名は、古代ギリシア語で「毛深い女性の部族」を意味する「ゴリライ(gorillai)」に由来するとされます。日本では昔、漢字で「大猩猩(おおしょうじょう)」と書かれたこともあります。

ゴリラが科学の世界に正式に紹介されたのは1847年です。アメリカの医師で宣教師のトーマス・サベージと博物学者のジェフリーズ・ワイマンが、リベリアで手に入れた標本をもとに、今のニシゴリラを記載しました。マウンテンゴリラは、1902年にドイツの軍人ロベルト・フォン・ベーリンゲがしとめた個体をもとに新しいゴリラとされ、その名前から Gorilla beringei という学名がつけられました。ニシローランドゴリラの学名は Gorilla gorilla gorilla で、属・種・亜種の名前がすべて「ゴリラ」です。

ゴリラとくらしてきたアフリカの人びとは、ゴリラをよく知っています。バカの人びとには、性別や年齢、関係などで呼び分ける、ゴリラを表すことばが少なくとも10種類あります。

なぜ絶滅危惧種なの?

ニシゴリラとヒガシゴリラは、どちらも国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで、もっとも危険度の高い「近絶滅種(CR)」とされています。亜種では、マウンテンゴリラだけが1段階低い「絶滅危惧種(EN)」で、ほかの亜種はすべて近絶滅種です。おもな原因は、肉(ブッシュミート)を目当てにした密猟、森林の伐採や採掘によるすみかの破壊、内戦、病気です。

ゴリラは人に近い動物なので、人と同じ病気にもかかりやすいとされます。2004年には、コンゴ共和国のオザラ国立公園で、数百頭のゴリラの集団がエボラウイルスによってほぼ全滅しました。2006年の研究では、中部アフリカでのエボラの流行で、5,000頭をこえるゴリラが死んだ可能性があるとされています。

野生のニシゴリラは、30万頭あまりいると見積もられています。一方、マウンテンゴリラは、1981年の調査ではヴィルンガ山地に254頭しか残っていませんでした。密猟をふせぐパトロールなどの保護活動で数が増え、今は全体で1,000頭をこえると考えられています。

数が少なくなると、血縁の近いものどうしで子が生まれやすくなります。2022年の研究では、3つの亜種のゴリラの頭骨114個をくらべ、とくに血縁の近いものどうしの繁殖が多いマウンテンゴリラで、顔の左右のゆがみがいちばん大きいことが分かりました。このゆがみは、かむときのくせでは説明できず、成長の不安定さの表れと考えられています。そうした不安定さは、この100年で強まっていました。

ナゾロジーでくわしくマウンテンゴリラは近親相姦を繰り返した結果、顔の非対称化が起きていた

動物園とゴリラ

ゴリラは19世紀から欧米の動物園で人気を集めましたが、はじめのころは飼育がうまくいかず、早く死んでしまうことが多くありました。1920年代の終わりごろから、飼い方が大きく改善されました。

動物園では、人とゴリラの事故も起きています。2016年5月28日、アメリカのシンシナティ動物園で、3歳の男の子がさくの下をくぐってゴリラの屋外展示場に入り、オスのニシローランドゴリラ「ハランベ」に引きずられました。男の子の命が危ないと判断した動物園の職員がハランベを射殺し、この判断をめぐって世界中で議論が起きました。

ナゾロジーでくわしく来園者のスマホに心奪われ「スマホ中毒」になったゴリラ

よくある疑問

ゴリラは何類? 何科?
ゴリラは哺乳類です。サルのなかま(霊長目)のうち、ヒトやチンパンジー、オランウータンと同じ「ヒト科」に入ります。ゴリラ属には、ニシゴリラとヒガシゴリラの2種がいます。今生きている霊長類の中で、いちばん大きな動物です。
ゴリラの体重は何キロ?
野生のおとなのオスは136〜227kg(ふつうは150〜180kgほど)、メスは68〜113kg(ふつうは80〜100kgほど)で、オスはメスの約2倍の重さです。生まれたばかりの赤ちゃんは1.8kgほどです。
ゴリラはなぜ胸をたたく(ドラミングする)の?
胸をたたいて自分を主張し、ぶつかり合わずに相手と距離をとるための行動と考えられています。2021年の研究では、体の大きなオスほどドラミングの音が低く、音が体の大きさ(強さ)を正直に伝える合図になっていることが分かりました。
ゴリラはなぜムキムキ? 植物ばかり食べているのに?
ゴリラは、今生きている霊長類でいちばん大きな動物で、とくにオスはメスの約2倍の重さになります。また、ゴリラがたくさん食べる葉には、タンパク質が多くふくまれます。ウガンダのマウンテンゴリラでは、葉を多く食べる時期に、とったタンパク質の割合が、人の高タンパクのダイエット食と同じくらいになっていました。
ゴリラの血液型は何型? B型なの?
ゴリラの血液は、ヒトの血液型を調べるときに使う抗A・抗Bの抗体に反応しません(ヒトならO型にあたる反応です)。ただし、ゴリラの血液型のしくみはヒトとちがっていて、ヒトのABO式血液型にそのまま当てはめることはできないとされています。
ゴリラの寿命は? 何歳まで生きる?
野生ではふつう35〜40年です。飼育されているゴリラは、まれに50年以上生きることがあり、飼育下で生まれた初めてのゴリラ「コロ」は60歳まで生きました。
ゴリラはどこにいる? 日本で見られる動物園は?
野生のゴリラは、アフリカの赤道に近い地域の森にだけすんでいます。日本では動物園で見ることができ、2025年5月15日の時点で、6つの園でニシローランドゴリラ19頭が飼育されています。恩賜上野動物園、千葉市動物公園、東山動植物園、京都市動物園などにいます。
ゴリラはなぜ絶滅危惧種なの?
肉を目当てにした密猟、森林の伐採や採掘によるすみかの破壊、内戦、病気などで数が減ってきたためです。ゴリラは人と同じ病気にかかりやすく、中部アフリカではエボラウイルスの流行で5,000頭をこえるゴリラが死んだ可能性があります。ニシゴリラとヒガシゴリラは、どちらも国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで「近絶滅種」とされています。

ナゾロジーで読む24本

  1. 01 ゴリラたちが夢中で「カメレオン」に魅入る映像を撮影【映像あり】
  2. 02 来園者のスマホに心奪われ「スマホ中毒」になったゴリラ
  3. 03 野生のマウンテンゴリラに「極めて稀な双子」が誕生
  4. 04 マウンテンゴリラは近親相姦を繰り返した結果、顔の非対称化が起きていた
  5. 05 ゴリラの性器を類人猿最小にした遺伝子が「男性の不妊」にも関わっていた

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同じヒト亜科

同じ霊長目

同じ哺乳類

参考文献

  1. Rothman JM ほか (2011) Nutritional geometry: gorillas prioritize non-protein energy while consuming surplus protein. Biology Letters
  2. Wright E ほか (2021) Chest beats as an honest signal of body size in male mountain gorillas (Gorilla beringei beringei). Scientific Reports
  3. Morrison RE ほか (2021) Social groups buffer maternal loss in mountain gorillas. eLife
  4. Breuer T ほか (2005) First Observation of Tool Use in Wild Gorillas. PLoS Biology
  5. Salmi R ほか (2022) A novel attention-getting vocalization in zoo-housed western gorillas. PLOS ONE
  6. Sanz CM ほか (2022) Interspecific interactions between sympatric apes. iScience
  7. Southern LM ほか (2021) Lethal coalitionary attacks of chimpanzees (Pan troglodytes troglodytes) on gorillas (Gorilla gorilla gorilla) in the wild. Scientific Reports
  8. McGrath K ほか (2022) Facial asymmetry tracks genetic diversity among Gorilla subspecies. Proceedings of the Royal Society B
  9. Prado-Martinez J ほか (2013) The genome sequencing of an albino Western lowland gorilla reveals inbreeding in the wild. BMC Genomics
  10. 東京都 (2025) 報道発表「恩賜上野動物園 ニシローランドゴリラを移動」
  11. 千葉市動物公園「未来へ紡ぐゴリラプロジェクト」
  12. Wikipedia「ゴリラ」(日本語版)
  13. Wikipedia「ニシゴリラ」(日本語版)
  14. Wikipedia「ヒガシゴリラ」(日本語版)
  15. Wikipedia「Gorilla」(英語版)
  16. Wikipedia「Western gorilla」(英語版)
  17. Wikipedia「Eastern gorilla」(英語版)
  18. Wikipedia「Mountain gorilla」(英語版)
  19. Wikipedia「Western lowland gorilla」(英語版)
  20. Wikipedia「Eastern lowland gorilla」(英語版)
  21. Wikipedia「Cross River gorilla」(英語版)
  22. Wikipedia「Killing of Harambe」(英語版)
  23. Wikipedia「Tiger」(英語版)
  24. Wikidata「ゴリラ属 Gorilla」(Q36611)

表紙の写真: Carine06(CC BY-SA 2.0) / Wikimedia Commons
ほかの写真のクレジットは、それぞれの写真のページにあります。
この図鑑は、参考文献の資料をもとに、ナゾロジー編集部がまとめています。