ネズミ番として、
人のそばにやってきた。
- ナゾロジーの記事
- 103本
- 体重
- 4〜5kg
- 平均寿命(飼いネコ)
- 約13年
ネコ(イエネコ)は、リビアヤマネコを祖先とするネコ科の哺乳類。体重は4〜5kgほどで、暗いところでもよく見える目や、すき間の幅を感じとるひげをもちます。ネズミをとる番人として人のそばで暮らし始め、今では世界中で飼われています。
図鑑データ
- 分類
- 哺乳類 › 食肉目 › ネコ科 › ネコ属
- 学名
- Felis catus
- 英名
- cat(キャット)、domestic cat
- 祖先
- リビアヤマネコ(アフリカヤマネコ)
- 大きさ
- 頭から胴まで平均46cmほど、しっぽ30cmほど
- 体重
- 4〜5kgほど(おとな)
- すみか
- 南極をのぞくすべての大陸(人とともに広がった)
- 日本では
- ペットとして広く飼われ、野外にもいる
- 食べもの
- 肉食(ネズミ、小鳥、トカゲ、昆虫など)
- 寿命
- 飼いネコの平均 約13年
- 増え方
- 妊娠期間 平均65日ほど、1回に1〜6匹
- 人とのくらし
- 約9,500年前のキプロス島の埋葬例が古い例
ネコとは(何類?)
ネコ(イエネコ)は、哺乳類の食肉目ネコ科ネコ属に分類される動物です。学名は Felis catus。イヌとならぶ代表的なペットとして、世界中で飼われています。
ネコ科にはトラやライオン、ヒョウなどがいますが、人に飼いならされて家畜になったのはイエネコだけです。広い意味では、こうしたネコ科の動物をまとめて「ネコ」と呼ぶこともあります。
大きさと体のつくり
おとなのネコの体重は4〜5kgほど。頭から胴までの長さは平均46cmほどで、しっぽは30cmほどあります。オスのほうがメスより大きくなります。
- やわらかい体:背骨のうち胸の骨(胸椎)が13個、腰の骨(腰椎)が7個と、人(12個と5個)より多く、体を大きく曲げたりひねったりできます。小さな鎖骨はほかの骨とつながらず筋肉でつながっているため、頭が通るすき間なら体も通り抜けられます。
- 爪:爪は出し入れでき、ふだんは指の皮ふと毛の中にしまっています。地面でけずれないので鋭いままで、足音を立てずに獲物に近づけます。指はふつう前足が5本、後ろ足が4本です。
- 汗:汗をしっかりかけるのは足の裏(肉球)だけです。
- 舌:表面に長さ0.5mmほどの後ろ向きのとげ(糸状乳頭)が並び、ブラシのように毛を整えます。
- 歯:おとなの歯は30本。奥歯は肉をはさみのように切るのは得意ですが、すりつぶすことはほとんどできません。


毛の色と三毛猫
ネコの毛の色や模様はとても多彩です。茶色(オレンジ)の毛をつくる遺伝子はX染色体の上にあるため、茶色と黒の両方をもつ三毛猫やサビ猫は、ほとんどがメスです。オスはX染色体が1本多いなど、まれな場合にしか生まれません。
この茶色の遺伝子の正体は長いあいだナゾでしたが、2025年の研究で、X染色体にある ARHGAP36 という遺伝子の中でDNAの一部が欠けていることが、茶色の毛と強く結びついていると報告されました。

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目・耳・鼻・ひげ(すぐれた感覚)
- 目:暗いところに強く、人が見るのに必要な明るさの6分の1でもものが見えます。網膜の後ろに光をはね返す「タペタム(輝板)」という層があり、暗い中でライトを当てると目が光って見えるのはこのためです。瞳は縦に細長く、明るいところでは細く、暗いところでは大きく開きます。
- 色:色を感じる細胞(錐体)は2種類で、青と黄緑に敏感です。赤と緑の見分けは苦手です。
- 耳:人には聞こえない高い音(超音波)も聞こえ、ネズミなどの声をとらえられます。耳は左右べつべつに動かせ、音の出どころを正確に探ります。
- 鼻:上あごには「ヤコブソン器官(鋤鼻器)」という別のにおいのセンサーがあります。口を半開きにした独特の顔(フレーメン反応)は、ほかのネコのフェロモンを分析しているしぐさです。
- ひげ:ひげ(洞毛)は大切な感覚器です。口のまわりだけでなく目の上などにも生えていて、すき間の幅や、暗い中での物の位置、空気の流れを感じとります。ひげに物がふれると、目を守るためにまばたきをします。


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ネコの祖先と歴史(いつから人と暮らしている?)
イエネコの祖先は、中東の砂漠などにすむリビアヤマネコ(アフリカヤマネコ)です。2007年に世界のネコ979匹のDNAを調べた研究で、ネコは中東の「肥沃な三日月地帯」で、農業の村ができはじめたころに家畜になったと考えられるようになりました。
きっかけはネズミだったと考えられています。人が農業を始めて穀物をたくわえるようになると、それを食べにネズミが集まり、そのネズミをねらってヤマネコが村に住みつきました。穀物には手を出さずにネズミをとってくれるネコは、人にとってもありがたい存在だったのです。
人とネコの古いつながりを示す例として、地中海のキプロス島にある約9,500年前の遺跡では、人の墓にネコが一緒に埋葬されていました。キプロス島にはもともと野生のネコがいないため、人が連れてきたと考えられています。

古代エジプトではネコがとても大切にされ、ネコの姿の女神バステトもまつられました。ヨーロッパに広がったのは意外に新しく、2025年に古代と現代のネコ87匹のゲノムを調べた研究では、ネコが北アフリカからヨーロッパへ入ったのは約2000年前とされています。中国で見つかった最も古いイエネコは唐の時代の730年ごろのもので、シルクロードを通って商人に運ばれた可能性があると報告されています。

日本では、ネコは平安時代に大陸から来たと考えられてきましたが、弥生時代までさかのぼる可能性も指摘されています。文献に初めて登場するのは、822年ころにできた仏教説話集『日本霊異記』です。
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何を食べる?(魚が好きなの?)
ネコは、肉を中心に食べないと生きていけない「完全肉食動物」です。外で暮らすネコは、ネズミや小鳥のほか、トカゲや昆虫なども捕まえて食べます。獲物にそっと忍び寄ったり、巣穴の外で待ちぶせしたりして狩りをします。
体の中で十分につくれない栄養も多く、とくにタウリンとアルギニンは食べものからとる必要があります。タウリンが足りないと、心臓の病気(拡張型心筋症)を起こします。
また、ネコは甘みを感じません。甘みを受けとるセンサーの遺伝子(Tas1r2)がこわれているためで、トラやチーターも同じです。そのかわり、うま味にはよく反応します。ネコのマグロ好きは、マグロに多いイノシン酸とヒスチジンの組み合わせが、ネコにとって強いうま味になるためではないかと考えられています(2023年の研究)。
- 牛乳:おとなのネコの多くは牛乳の乳糖をうまく消化できず、下痢の原因になることがあります。
- 危ない食べもの:タマネギやニンニク、ブドウ、チョコレート、ユリの花などはネコに有害です。

野生動物への影響
2023年に世界中の調査をまとめた研究では、外で暮らすネコが食べていた動物は2,084種にのぼり、そのうち347種は保護が心配される種でした。食べられた種の約90%は鳥・爬虫類・哺乳類です。
ネコは人の手で世界中に運ばれ、多くの地域で外来種になっていて、国際自然保護連合(IUCN)の「世界の侵略的外来種ワースト100」にも選ばれています。日本でも、奄美大島のアマミノクロウサギや沖縄県のヤンバルクイナなどの希少な動物が、野外のネコに食べられて問題になっています。環境省の基準では、ネコの飼い主は室内で飼うように努めることとされています。
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ゴロゴロ・ニャー(声としぐさ)
ゴロゴロ:のどを鳴らすゴロゴロ音は、なでられてくつろいでいるときによく聞かれますが、病気や痛みがあるときに鳴らすこともあります。もともとは、子ネコとお乳をあげる母ネコのあいだの合図として発達したと考えられています。
この音は、脳からの信号でのどの筋肉を細かくふるわせて出すと長く考えられてきました。ところが2023年の研究で、取り出したネコの喉頭(のどの発声器官)に空気を送るだけで、ゴロゴロと同じ25〜30Hzの低い振動が生まれることが分かりました。声帯の中に最大4mmほどの組織のかたまりがあり、これが低い音を出しやすくしていると考えられています。ただし、筋肉の働きも加わっている可能性は残っています。
ニャー:「ニャー」という鳴き声は、もともと子ネコが母ネコの気をひくための声で、おとなのネコどうしではほとんど使いません。飼いネコが人に向かってニャーと鳴くのは、人の気をひくためとされています。野生化したネコは、ふだんあまり鳴きません。2019年の研究では、ネコが自分の名前をほかの言葉と聞き分けていることも確かめられました。
しっぽと耳:しっぽをピンと立てるのは親しみをこめたあいさつ、耳を後ろに伏せるのは敵意やおびえのサインです。イヌとちがって、しっぽを大きく速く振るのは不機嫌なときです。
ふみふみ:毛布などを前足でもむように押す「ふみふみ」は、子ネコがお乳を飲むときに母ネコの乳房をもむしぐさのなごりと考えられています。
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よく寝る・水がきらい・足から着地(ネコのナゾ)
なぜよく寝るの?
ネコの睡眠時間は1日12〜16時間ほどで、20時間も眠るネコもいます。多くの動物より長く眠ってエネルギーを節約していると考えられ、「ネコ」という名前は「寝子(ねこ)」から来たという説があるほどです。明け方と夕方に特に活発になります。
なぜ水がきらいなの?
ネコは犬かきで泳げますが、水に入ったりぬれたりするのをいやがる個体が多くいます。祖先が乾いた砂漠地帯で進化してきたことと関係があるのではないかといわれています。ただし、ターキッシュバンのように泳ぐといわれる品種もいます。
高いところから落ちても足から着地できるのはなぜ?
ネコは落ちるとき、空中で体をひねって足を下に向ける「立ち直り反射」をもっていて、90cmほどの高さがあれば着地までに体勢を立て直せます。2026年に発表された研究では、ネコの背骨のうち胸の部分はねじりやすく、腰の部分はかたいことが分かりました。空中では体の前半が先に回り、あとから後半が回るという順番で体をひねっていると考えられています。
ただし、とても高いところから落ちると、鼻血や肺の損傷などの大けがをすることもあります。

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マタタビで酔うのはなぜ?
ネコはマタタビやキャットニップのにおいをかぐと、体をこすりつけたり転がったりします。キャットニップには70〜80%のネコが反応します。2021年の研究では、マタタビの成分「ネペタラクトール」が体をこすりつけることで顔や頭につき、蚊(ヒトスジシマカ)をよせつけにくくすることが分かりました。この行動は、蚊にさされるのを防ぐのに役立っていると考えられています。

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寿命と増え方
飼いネコの平均寿命はのびていて、1980年代はじめには約7年でしたが、1995年には9.4年、2014年と2023年の調査では約13年になっています。外で暮らすネコは、事故や病気などで寿命が短くなりがちです。
ネコの年齢を人に置きかえる目安としては、1歳で人の17〜20歳、2歳で23〜25歳、その後は1年ごとに4〜5歳ずつ年をとる計算がよく使われます。ただし成長のしかたが人とちがうため、あくまで目安です。
メスは生後半年から1年ほどで子どもを産めるようになり、交尾の刺激で排卵がおこります(交尾排卵)。妊娠期間は64〜67日で、平均65日ほど。外で暮らすメス2,300匹の調査では、1回に1〜6匹、平均3匹の子ネコを産んでいました。同じときに生まれたきょうだいでも、父親がちがうことがあります。子ネコは生後6〜7週で乳離れします。

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よくある疑問
- ネコは何類?
- 哺乳類です。食肉目ネコ科ネコ属に分類され、トラやライオンと同じネコ科のなかまです。ネコ科で家畜になったのはイエネコだけです。
- ネコの寿命はどれくらい?
- 飼いネコの平均寿命は、2014年と2023年の調査で約13年です。1980年代はじめの約7年から大きくのびました。外で暮らすネコは、事故や病気などで寿命が短くなりがちです。
- ネコの年齢は人間でいうと何歳?
- 目安として、1歳で人の17〜20歳、2歳で23〜25歳、その後は1年ごとに4〜5歳ずつ足していく計算がよく使われます。成長のしかたが人とちがうので、正確な換算ではありません。
- 三毛猫はなぜメスばかりなの?
- 茶色の毛をつくる遺伝子がX染色体の上にあり、茶色と黒の両方をもつにはふつうX染色体が2本必要だからです。オスの三毛猫は、X染色体が1本多いなどのまれな場合にしか生まれません。
- ネコはなぜ水をきらうの?
- 多くのネコは水に入ったりぬれたりするのをいやがります。祖先が乾いた砂漠地帯で進化してきたことと関係があるのではないかといわれていますが、はっきりとは分かっていません。泳ぐといわれる品種もいます。
- ネコに牛乳やブドウをあげても大丈夫?
- おすすめできません。おとなのネコの多くは牛乳の乳糖をうまく消化できず、下痢をすることがあります。ブドウ、タマネギやニンニク、チョコレートはネコに有害です。
ナゾロジーで読む103本
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参考文献
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- Nilson SM ほか (2022) Genetics of randomly bred cats support the cradle of cat domestication being in the Near East. Heredity
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- De Martino M ほか (2025) The dispersal of domestic cats from North Africa to Europe around 2000 years ago. Science
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- Li X ほか (2005) Pseudogenization of a Sweet-Receptor Gene Accounts for Cats' Indifference toward Sugar. PLoS Genetics
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- Lepczyk CA ほか (2023) A global synthesis and assessment of free-ranging domestic cat diet. Nature Communications
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- Saito A ほか (2019) Domestic cats (Felis catus) discriminate their names from other words. Scientific Reports
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- Uenoyama R ほか (2021) The characteristic response of domestic cats to plant iridoids allows them to gain chemical defense against mosquitoes. Science Advances
- Wikipedia「ネコ」(日本語版)
- Wikipedia「Cat」(英語版)
- Wikidata「cat」(Q146)
表紙の写真: Von.grzanka(CC BY-SA 3.0) / Wikimedia Commons
ほかの写真のクレジットは、それぞれの写真のページにあります。
この図鑑は、参考文献の資料をもとに、ナゾロジー編集部がまとめています。












