周囲の状況を把握する動物のヒゲ
ネコは狭い場所にも巧妙に入り込み、壁やモノにぶつからないよう器用に歩くことができます。
しかし、ネコはヒゲを切られると、途端に平衡感覚を失って周りの壁やモノにぶつかりやすくなってしまいまうんです。
これは彼らのヒゲが、空気の流れや、周囲にある物体に触れた感覚を正確に感じとる機能を持っているため。
しかし、動物のヒゲは昆虫の触角と異なり神経が通っているわけではありません。
では、神経を持たない毛が、どうやって細やかな感触を脳へ伝えているのでしょうか?
ヒゲの根本は、皮膚内の毛包という深いポケットの中にあります。当然ヒゲの触覚は、神経と接しているこの部分を使って脳へ伝達されているはずです。
けれど、毛包内を研究するというのは非常に困難です。
毛包を切り開いて観察しようとすると、毛包内のヒゲの格納状態が変わってしまうため、プロセスを正確に実験で測定できないのです。
そのため、これは長年の謎となっていました。
そこで今回、ノースウエスタン大学の研究チームは、ヒゲが物体に触れたという感覚を毛包内の細胞がどうやって脳へ伝えているか、機械的なシミュレーションを開発することで明らかにしようと試みたのです。