徒歩や自転車など「自分の力で学校に通う」習慣が、子どもの健康を支える
「Active Commuting to School: ACS(アクティブな通学)」とは、歩行や自転車など自分の力で学校に通うことを指します。
近年、世界的に子どもの身体活動量の低下が問題視されており、その解決策の一つとしてACSが注目されています。
運動不足による生活習慣病リスクは早くから積み重なっていくため、日常の中で無理なく活動を取り入れられるACSは、公衆衛生の観点から非常に重要です。

ところが、この30〜40年でACSの割合は世界的に減少しています。
要因としては、都市構造の変化、学校統廃合による通学距離の延伸、交通安全への懸念などが挙げられます。
研究チームは、この減少傾向を逆転させるためには、なぜ・誰が・どのようにACSを選択するのかという背景を理解する必要があると考えました。
特に、親が子どもの行動に与える影響は幼少期ほど大きく、親の過去の経験や価値観は「暗黙のモデル」として受け継がれる可能性があります。
これを「世代間伝達(intergenerational transmission)」と呼びます。
今回の調査は、660組の親子を対象に、1980年代のフィンランドで小・中・高校生だった親(G1)と、その子ども世代(G2)の通学習慣を同じ年齢帯で比較。
世代ごとに通学距離、性別、居住地(都市か農村か)、親の学歴や世帯収入といった社会経済的要因も考慮しました。