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Credit: canva
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睡眠の質が悪い人ほど、脳が老けこんでいた

2025.10.22 22:00:41 Wednesday

私たちは人生の約3分の1の時間を睡眠に費やしています。

最近では、この事実に「もったいない」と感じて、ショートスリーパーに転向する人もいるようです。

しかし、睡眠はただの休息時間ではありません。

体や心を回復させ、起きている間の健康を守るうえで欠かせない役割を果たしています。

そんな中、スウェーデン・カロリンスカ研究所(KI)の最新研究で、睡眠の質が「脳の見た目年齢」にまで大きく影響していることが明らかになりました。

なんと睡眠の質が悪い人ほど、脳が実年齢以上に老けこんでいたのです。

研究の詳細は2025年9月30日付で科学雑誌『eBioMedicine』に掲載されています。

The good news about brain aging: better sleep can make a difference https://www.psypost.org/the-good-news-about-brain-aging-better-sleep-can-make-a-difference/
Poor sleep health is associated with older brain age: the role of systemic inflammation https://doi.org/10.1016/j.ebiom.2025.105941

「脳年齢」は睡眠で変わる?

今回の発見は、イギリスの40~70歳の男女2万7000人以上を対象にした大規模研究によってもたらされました。

研究チームは、参加者の睡眠の質や睡眠習慣に関する自己申告データと、のMRI画像という詳細な医療データを組み合わせて解析しました。

驚くべきは、睡眠が悪い人ほど「脳が老けて見える」傾向が強かったという点です。

ここでいう「脳が老けて見える」とは、最新のAIと脳画像技術によって、脳のMRI画像から“脳年齢”を推定するという方法を指します。

人の脳は年齢とともに徐々に萎縮したり、表面の皮質が薄くなったり、血管がダメージを受けやすくなったりします。

こうした微細な変化を1000以上の指標で数値化し、AIに学習させることで、個々人の「脳年齢」を推定できるようになりました。

研究ではまず、持病のない最も健康的な参加者の脳画像をもとに「年齢相応の脳とはどういうものか」をAIに学習させました。

そして全ての参加者に対し、実年齢と脳年齢のギャップを算出したのです。

すると、睡眠の質が悪い人ほど、実年齢と脳年齢のギャップが広がり、実年齢より脳年齢のほうが上回るという傾向が見つかりました。

一方で、睡眠の質が良い人は、脳年齢と実年齢の差がほとんど見られなかったのです。

さらに詳しく分析すると、「夜型タイプ」や「睡眠時間が短い・長すぎる」といった人ほど、脳の老化が加速しやすいことも判明しました。

また不眠やいびき、日中の強い眠気といった複数の睡眠問題が重なると、リスクがさらに高まることが示されています。

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