鼻から脳へ続く、アメーバの長い旅路

ネグレリア・フォーレリは、ふだん温かい淡水の中で、水底の堆積物のあいだを這うようにして暮らしています。
ふだんから人を襲っているわけではありません。
ところがまれに、泳いでいる人の鼻の中へ水と一緒に押し流されてしまうことがあります。
そうなるとアメーバは鼻の奥から脳へと進みながら組織を壊して食べ、やがて増殖を始めて、多くの場合は命を奪ってしまいます。
以前ナゾロジーではこういう記事も紹介しています(死亡率が極めて高い「脳を食べる」アメーバの特効薬が”既存の薬”から見つかる!)
アメリカでの感染は例年10件に満たず、夏の泳ぎ場で起こることが多いのですが、そのほぼすべてが死に至っています。
感染を果たすには、アメーバは嗅覚の神経線維に沿って進み、「篩板(しばん)」と呼ばれる骨の板の穴をくぐり、さらに脳の組織の中を移動しなければなりません。
以前ナゾロジーではこういう記事も紹介しています(鼻うがいで「脳食いアメーバ」に感染した女性が死亡、米テキサス州)
いわば、景色の違う道を次々に乗り継いでいくマラソンのような旅です。
ところが、アメーバがどうやってこの道のりを進むのかは分かっていませんでした。
フリッツ=レイリン氏も「これらの生き物の基本的な生物学について、私たちはほとんど何も知らない」と話しています。
そこでチームは、脳食いアメーバと共通する振る舞いをもつ無害な親戚「ネグレリア・グルベリ」を実験に使いました。
「命を奪えない相手を扱うほうが、ずっと安全ですから」と同氏は語ります。
アメーバを置いたのは、平らなガラスの上、2枚のガラスのすき間、細い通路を刻んだ皿、そして池の堆積物をまねた粒状のゼリー(ハイドロゲル)の中です。
こうした形の違う環境で、アメーバがどう体を伸ばし、どう進むのかを顕微鏡で追いかけました。




















