高温の表面で液体が蒸発せずに宙に浮く「ライデンフロスト効果」
家でフライパンを使ったときに、表面に水滴が落ちるとじわじわとあぶくを出してすぐに蒸発してしまします。
しかし、このとき鉄板などの表面が、水の沸点よりもはるかに高い200℃以上に加熱されていたとき、落ちた水滴はすぐに蒸発せずに、雫の形を維持したまま滑るように移動します。
これは鉄板が非常に熱いために、水滴の底面がすぐに蒸発し、水蒸気の膜を作って水滴を浮かせてしまうためにおきる現象です。
蒸発が早すぎて水滴がホバークラフトのような状態になっているのです。
この状態をライデンフロスト効果と呼びます。
これはすでに知られていた現象ですが、メキシコのプエブラ大学の研究チームは、このとき起きるさらに興味深い現象を発見しました。
チームはわずかに凸状の金属板を250℃まで熱し、そこに水、エタノール、メタノール、クロロホルム、ホルムアミドなど異なる種類の液滴を落としたとき、液滴同士がすぐに合体せず、弾きあうのを確認したのです。
これは水(大きな液滴)とエタノール(小さな液滴)がライデンフロスト効果を起こしているときの動画です。
エタノールはわかりやすくするために青く着色されています。
液体同士が触れあえば、通常はすぐに合体して混ざり合うと考えられますが、この動画では液滴はなんども跳ね返っています。
そして、エタノールが蒸発してある程度小さくなったところで、2つの液滴は混ざり合っています。
これがチームの発見した新しいライデンフロスト効果です。
この現象は、水と水とか、エタノールとエタノールのような同種の液体同士では発生せず、異なる液体同士のときに数秒から数分間跳ね返るのが確認されました。
では一体、なぜこんな事が起きるのでしょうか?