2年の常温保存が可能 災害や戦時の緊急輸血にも役立つ
今回の研究により、人工赤血球が出産時の大量出血に対して有効であることが示されました。
人工赤血球は失われた血液の代りにウサギの体内で酸素運搬を行い、生存率を大きく上げていたのです。
人工赤血球は常温で2年間の保存が可能であり、血液型に関係なく投与できるため、分娩室に常設しておくことで大量出血に対して即座の対応が期待できるでしょう。
また災害時や戦場の野戦病院など、多数の重症者が出る状況において、血液型に関係なく投与可能な人工赤血球は、民間人や兵士の命を救う決定的な役割を果たすと見られます。
加えて、AED(自動体外式除細動器)のように、人工赤血球の簡易な投与キットを公共機関の各所に設置できれば、事故等による出血死の大幅な減少につながるかもしれません。
本研究で使用された人工赤血球は、現在、日本医療研究開発機構(AMED)の支援によって臨床試験への準備が進められているとのこと。
将来的に、より少ない量で即効性のある人工赤血球や人工血液が開発できれば、救命医療の常識が大きく変わる可能性があります。
もしかしたら遥か未来のテレビドラマでは、出血死するシーンはなくなっているかもしれませんね。