赤外線と腕の振動で奥行きを把握できる
開発された視覚障がい者用の新型ゴーグルは、次の仕組みで作られています。
最初に深度カメラが、装着者視点の画像を撮影。
次に内蔵された小型コンピュータが、その画像を25個(5×5の配列)に区分けします。
奥行き情報に基づいて、それぞれの区画ごとに「障害物レベル」を判定。
その後、この情報は腕に装着したアームバンドに送られます。
そしてアームバンドにも画像の区画に対応した25のバイブレータが付いており、障害物レベルに応じた振動が加わるようになっています。
例えば、廊下を歩く装着者は、アームバンドの両端の列が強く振動していることから、これらが廊下の側壁だと分かります。
また中心に向かって振動が弱くなっているため、「この方向には障害物がなく、通路が続いている」と判断できるのです。
装着者は、主観映像をアームバンドの振動で絶えず知覚できるため、目が見えなくても奥行きを感じながら障害物を避けて歩けます。
実際に行われたテストでは、障害物ありの複雑な通路を98%の精度で移動することができました。
5人の参加者全員が1回目でコースをクリアでき、しかも何度か繰り返すことで、さらに早くゴールできたとのこと。
この新型ゴーグルのメリットは、デバイス自体がコンパクトである点と、他の感覚を阻害しない点にあります。
ゴーグルとアームバンドだけなので、歩行や聴覚情報を妨げることがないのです。
視覚障がい者の活動範囲を大きく広げる可能性があるため、「使ってみたい」と感じる方も多いのではないでしょうか。
商品として完成するときを期待して待ちたいですね。