夜中に突然目覚めるのはナルコレプシーの裏返しだった
加齢にともなう睡眠障害は、誰もがいずれは経験することになります。
もっとも一般的にみられるのは、起きる時間でもないのに夜中に目が覚めてしまう症状(中途覚醒)です。
そして夜中の突然の目覚めが起こるとしばしば、再び眠りにつくのが困難になってしまい、睡眠時間の不足をまねきます。
この不思議な現象を説明する言葉としてよく耳にするのは「眠るにも体力が必要」との説です。
確かに、睡眠サイクルなど体のリズムを司る機能は、老化によって衰えていきます。
しかし睡眠と覚せいの現場となる脳内で、実際にどんな変化があって、夜中の目覚めを起こしているかは不明のままでした。
そこで今回、スタンフォード大学の研究者たちは、意外なアプローチを行うことにします。
研究者たちが注目したのは、日中に突発的な眠気を引き起こす「ナルコレプシー」でした。
「ナルコレプシー」と「夜中の目覚め」は全く無関係にも思えますが、両者にはともに需要と無関係な「突発性」という共通点が存在します。
ナルコレプシーは日中、睡眠時間が足りているにもかかわらず突発的な眠りに陥ってしまう症状です。
一方、加齢にともなう睡眠障害は睡眠時間が不足している状態にもかかわらず、夜中に突発的に目覚めてしまいます。
そのため研究者たちは、2つの症状が同じ現象の表と裏の関係にあるとの発想に至り、実証を行うことにしたのです。
稀な症状として知られる「ナルコレプシー」は、誰もが経験することになる「夜中の目覚め」と、本当に表裏の関係にあったのでしょうか?