空気中のCO2からダイヤモンドを生み出す技術は、現代の錬金術になるのか?
エーテル社が新しく生み出した人工ダイヤモンドは、空気中のCO2からつくられています。
この製造方法は、4つのステップから成り立っています。
1つ目のステップでは、空気中のCO2を直接回収。
これにはスイスの企業が開発した新しい技術が利用されているとのこと。
2つ目のステップでは、抽出したCO2を特殊な装置でダイヤモンドに合成します。
従来の「CVD(化学蒸着法)」ではメタンガスを利用しますが、新しい装置では、CO2から直接ダイヤモンドの小さな結晶を生み出せるのです。
3つ目のステップは、「ダイヤモンドの成長」であり、エーテル社は、「100%クリーンなエネルギーでダイヤモンドを成長させられる」と主張しています。
そして4つ目のステップでは、「専門家によるカット・研磨」が行われます。
空気中のCO2が最終的に宝石へと変化するのです。
しかも組成は天然ダイヤモンドと全く同じとのことで、エーテル社が提供する写真を見る限り、従来のダイヤモンドと遜色ないように思えます。
さてエーテル社は、これら4つのステップにおける詳しい製法と製造コストを明らかにしていません。
しかし、天然ダイヤモンドが宝石になるまでのプロセスと比べると、エネルギー消費が半分になり、1カラットあたり約577リットルの水を節約できるとのこと。
また「人工ダイヤモンドが1カラット売れるごとに、大気中からは20トンものCO2が排除される」とも主張しています。
しかし、こうした新しいエコを謳う技術では、実際消費されるCO2よりも排出するCO2の方が多かったり、コスト的にはまった見合っていない場合が多いため、注意が必要です。
実際の製法などが企業秘密のため、どこまで真に受けてよいのかは現状判断が難しいですが、これが環境問題に対処する方法として、非常にユニークな新しい切り口であることは確かです。
本当にCO2を削減しつつ人工ダイヤモンドが作れるのだとすれば、温室効果ガス削減に積極的になる企業が増えるかもしれません。
空気からつくられた「環境にやさしいダイヤモンド」は、既に販売されているとのこと。
温暖化問題を解決しつつ、価値ある宝石を生み出す都合のいい技術は、今後のスタンダードになっていくのでしょうか。