匿名性は悪影響を及ぼす可能性がある

なぜ人類は他人を知ると自分が知られていると感じるのか?
研究者は人類がそのように進化した理由について、匿名性の持つ否定的な影響をあげています。
これまでの研究で匿名性が非常に有害な社会行動につながることが示されています。
人は自分が特定されていないと感じると攻撃的になり、しばしば社会に対して破壊的な行動をとることがあります。
しかし攻撃対象となる「他人」を知ると同時に、自分の匿名感が薄れる場合、そのような破壊行動を未然に防ぐことが可能になります。
つまり「他人を知ると自分も知られたように感じる(匿名性が低下すると感じる)」のは、人類社会を保護するプロテクターのような機能があったと考えられます。
また匿名性の低下によって得られる誠実さは、共同体の維持や発展において重要な要素になりえます。
そのため人類は進化のある段階で、自らの匿名性を感じにくくなるように変化した可能性があります。
一方で、人類の社会が複雑化して都市が作られるようになると、有名人などに対しては自分の匿名性を維持したまま一方的に情報を仕入れることが可能になります。
しかし本能に根付いた心理は簡単に消し去れるものではなく、結果として「錯覚」に陥ってしまうと考えられます。