微細構造をつくって発色させる「構造色インクジェット印刷」
通常のインクジェット印刷は、インクに色素となる顔料を含ませることで、「色」を生み出します。
ところが新しく開発された「構造色インクジェット印刷」のインクには、顔料が含まれていません。
インク膜内に微細構造を形成することで、構造色を発現させるのです。
つまり表面に「絵具を塗る」というよりも、「微細構造をつくる」というイメージに近いでしょう。
そして従来の印刷技術のように、複数のインクが用意され、それぞれが色味の異なる構造色を発現させます。
それぞれのインクの組み合わせや濃度を調整することで、構造色によるカラフルな描画か可能になるのです。
実際、赤から青までフルカラーの構造色を表現でき、さまざまなパターンやグラデーションもつくりだせます。
さらに同じ印刷物でも、見る角度によって色合いを変化させることが可能。
また背景の色によって透過光を調整し、印刷物の色を変化させることもできるのだとか。
さて、構造色インクジェット技術は、既に腕時計やアート作品に採用されています。
構造発色の印刷技術が実用化したので、今後はさまざまな分野で構造色の利用が増加していくことでしょう。
私たちの知っている「従来の色の世界」とは異なった「構造色の世界」が広がっていくのです。