空間情報を持った音が「誰かいる実感」を生み出していた
音だけで「誰かいる」実在感を起こせるのか?(音だけでソーシャルサイモン効果を起こせるのか)
調査にあたって研究チームはまず、被験者の視界を薄い壁で遮り、視覚的な方法でパートナーの実在感をもてなくしました。
そして、被験者にヘッドホンをしてもらい、
・パートナーが自然に出す生活音(衣擦れ・キーボードのタイプ音・椅子がきしむ音・ボタンを押す音)を通常の録音で採取したもの
・空間的な位置が把握できるようにバイノーラル技術で録音したもの
の2種類を聞かせました。
(※バイノーラル技術では、人間を模した人形の耳や鼓膜部分にマイクを設置することで、音の反射や左右の聞こえ方のズレを反映して録音でき、音源の上下左右・前後といった空間的(立体的)な情報を内包できるようになっています)
そして音(雑音)が聞こえたら、できるだけ素早くボタンを押すという、ソーシャルサイモン効果を測定するタスクを行いました。
結果、空間的な位置を把握できるパートナーの生活音を聞いていた被験者において、ソーシャルサイモン効果が誘発され、雑音に対して素早くボタンを押せるようになっていることが判明します。
この結果は、空間的な情報を含んだパートナーの出す生活音が、被験者のうちにパートナーがいる実在感を誘発し、ソーシャルサイモン効果による成績向上を起こしていることを示します。