MDの症状はADHDでは説明しきれない
そして今回の研究では、先と反対に、ADHD患者におけるMDの割合を調べることで、両者が異なる精神疾患であるかどうかを確かめました。
「もし両者が独立した疾患であれば、ADHD患者の間でも同様にMDの割合が高くなる、とは考えられないから」と、デュデク氏は話します。
実験では、ADHD患者98人に、MDおよびADHDの症状、心理的苦痛の尺度などを評価するオンライン質問票に回答してもらいました。
その結果、ADHD患者においてMDの基準を満たしたのは、わずか20〜23%だったのです。
この割合は、先に報告されたMD患者におけるADHDの発生率(約77%)よりもはるかに低くなっています。
これについて、デュデク氏は「MDがADHDでは説明できないユニークな特徴を持ち、2つの構成要素が異なることを示唆する」と指摘。
その上で、「MDは独立した精神現象であり、しばしば注意の欠陥を生じ、場合によってはADHDの基準を満たすこともあるが、必ずしもその逆ではない 」と結論しています。
加えて、ADHDとMDの両方の基準を満たした参加者は、うつ病と孤独感が高く、自尊心の低下を示していましたが、その症状の高まりは、ADHDの症状の重さでは説明できず、MD独自の影響が示されました。
このことからも、ADHDとMDを区別し、それぞれに合った適切な診断と精神療法が必要となるでしょう。
空想そのものは病気でもなんでもなく、むしろ、人類が発展するための武器と言えます。
しかし、空想も過剰になりすぎると、目の前の事に集中することが難しくなり、リアルな人間関係の構築を忌避してしまうようになります。
これが不安やうつ病、孤独感やコミュニケーション障害を引き起こします。
もし、自分の力では空想が制御できなくなっていると感じたら、一度、医師の診断を受けた方が良いかもしれません。