海底ケーブルの電磁波でロブスターが「カナヅチ」に
海底ケーブルの電磁波でロブスターが「カナヅチ」に / Credit: ナゾロジー 編集部
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海底ケーブルの電磁波でエビの赤ちゃんが「カナヅチ」になると判明! (2/2)

2024.09.28 Saturday

前ページ海底ケーブルが海の生物に与える影響

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電磁波による「奇形」のせいでロブスターが「カナヅチ」に

この実験では、卵から幼生になるまでの成長を数カ月にわたって追跡し、最終的には遊泳テストも行いました。

実験セットの模式図。エビの卵にも電磁波をビンビンに浴びせています
実験セットの模式図。エビの卵にも電磁波をビンビンに浴びせています / Credit: Alastair Lyndon et al., Journal of Marine Science and Engineering(2022)

その結果、電磁波にさらされたカニとロブスターの幼生は、ともに比較群より小さくなっていたのですが、ロブスターの方がより強い悪影響を受けることがわかりました。

垂直方向の遊泳テストで、水槽の底から餌を得るために水面まで浮上できるかを調査した場合、電磁波を浴びたロブスターの赤ちゃんは、浴びなかった個体に比べ、3倍近くもテストに不合格になり、水面まで到達できなかったのです。

さらに、それらのロブスターは、奇形になるリスクも3倍高くなっていました。

最も多く見られた奇形は、体の全体的な縮小と、尾の部分の折れ曲がりです。

泳ぎが下手になっていたのは、これらが原因と見られます。

また、目の発達が乱れていたり、体がパンパンに腫れ上がる症状も確認されました。

体の縮小や尾部の折れ曲がりを起こしたロブスターの幼生
体の縮小や尾部の折れ曲がりを起こしたロブスターの幼生 / Credit: Alastair Lyndon et al., Journal of Marine Science and Engineering(2022)

一方、カニの赤ちゃんにも多少の縮小は見られましたが、遊泳に支障をきたすレベルにはありませんでした。

セント・アブス海洋ステーションのペトラ・ハーサニ(Petra Harsanyi)氏は「カニの縮小は、ロブスターのように、すぐに影響の出るものではなかったが、発育に問題があることを示している」と指摘。

「長期的な障害や死亡率を増加させる可能性があるため、時間をかけて追跡調査をしなければならない」と話しています。

奇形や縮小そのものが命にかかわることではないにしても、単純に泳ぎが下手になることで、天敵に捕食される可能性が増大するでしょう。

カニやロブスターは、商業的に価値のある生き物であるため、何らかの解決策を模索しなければなりません。

その一つとして、ヘリオット・ワット大学のアラステア・リンドン(Alastair Lyndon)氏は「海底ケーブルを地中に埋めて、カニやロブスターを電磁波から保護する」ことを提案します。

「この手法はコストがかかり、維持管理も難しいですが、すでに多くの海洋再生可能エネルギー開発で行われています。

今後は、この手法を積極的に取り入れて、水生生物を守る必要があるでしょう」

何らの手も打たないまま、海底ケーブルだけ無闇に増やしてしまうと、ロブスターの「溺れ死に」が大量発生するかもしれません。

※この記事は2022年5月公開のものを再掲載しています。

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海底ケーブルの電磁波でエビの赤ちゃんが「カナヅチ」になると判明! (2/2)のコメント

ゲスト

浴びせられている電磁場は、実際のケーブルから漏れ出る量に比べて、妥当な量なのだろうか?

ゲスト

エビとカニ程度でも受ける影響にかなり差があると言う事のようだから人間だと影響あったかないかわからない程度まで影響薄まりそうではあるが…
太陽フレアやら食品添加物、除草剤とか色々どう影響出るかわからんモノに囲まれてるし短期で体調に反映されない限りは何が病気の原因になってんのかわからんよな

いかんせん生態系に影響及ぼすこと事態が恐ろしいから放置して宜しくはなさそう

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