長期のなりすましを排除する新しい生体認証
セキュリティレベルを高めるには、個人だけが知る複雑な情報で対象をロックする必要があります。
とはいえ、長い文字列のパスワードを記憶して毎回入力するのは、簡単ではりません。
鍵やカードも役立ちますが、こちらは無くしたり盗まれたりするリスクがあります。
そこで登場したのが、人体の一部を用いた「生体認証」です。
一般的には「指紋」や「顔」、また「虹彩(眼球の色がついている部分)」などが利用されます。
これらの人体部位は、個々人で異なる上、簡単には再現できない複雑なパターンを持っているので、強固なパスワードとして機能するのです。
しかも「タッチしたり、カメラに顔を向けたりするだけ」という手軽さも、大きなメリットになっています。
自分の体の一部なので無くしてしまうこともないでしょう。
しかし、これまでに登場した生体認証も完璧ではありません。
例えば、外傷などによって身体的特徴が変化する場合があるからです。
また指紋認証は一度登録されると基本的に変更されないため、採取して偽造されれば長期的ななりすましにつながる恐れもあります。
では、情報が複雑で、盗むことができず、手順も簡単な本人確認の方法はあるでしょうか?
そこで今回の研究チームは「呼気」に目を付けました。
これを聞いても、すぐにピンと来る人は少ないかもしれません。
確かに私たち人間が、他人の呼気を嗅いでも、それが誰のものであるか言い当てることは困難でしょう。わかることはせいぜい「こいつ昨日にんにくを食べたな」とか、そのくらいでしょう。
しかし人工知能(AI)による機械学習を利用すれば、呼気から個人を特定できるというのです。
そして実際にチームは、「呼気による個人認証システム」を開発しました。