呼気による個人認証の概念図
呼気による個人認証の概念図 / Credit:安井隆雄(名古屋大学)_人工嗅覚センサを介した呼気センシングによる個人認証 ―化学情報による偽造できない生体認証技術実現へ期待―(2022)
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口臭チェックで個人認証する新システムが登場!

2022.05.24 Tuesday

指紋や顔などを利用した生体認証は、セキュリティレベルの高い本人確認として幅広く利用されています。

今回、名古屋大学・大学院工学研究科に所属する安井 隆雄(やすい たかお)氏ら研究チームは、従来の生体認証よりもセキュリティレベルの高い手段を考案しました。

人口嗅覚センサを利用した「呼気による個人認証」を開発したのです。

実験では、呼気に含まれる分子を分析することで、97%以上の高精度で個人を見分けることができました。

研究の詳細は、2022年5月20日付の科学誌『Chemical Communications』に掲載されています。

人工嗅覚センサを介した呼気センシングによる個人認証 ―化学情報による偽造できない生体認証技術実現へ期待― https://www.nagoya-u.ac.jp/researchinfo/result/2022/05/post-262.html
Breath odor-based individual authentication by an artificial olfactory sensor system and machine learning https://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2022/cc/d1cc06384g#!divAbstract

長期のなりすましを排除する新しい生体認証

セキュリティレベルを高めるには、個人だけが知る複雑な情報で対象をロックする必要があります。

とはいえ、長い文字列のパスワードを記憶して毎回入力するのは、簡単ではりません。

鍵やカードも役立ちますが、こちらは無くしたり盗まれたりするリスクがあります。

そこで登場したのが、人体の一部を用いた「生体認証」です。

一般的には「指紋」や「顔」、また「虹彩(眼球の色がついている部分)」などが利用されます。

これらの人体部位は、個々人で異なる上、簡単には再現できない複雑なパターンを持っているので、強固なパスワードとして機能するのです。

しかも「タッチしたり、カメラに顔を向けたりするだけ」という手軽さも、大きなメリットになっています。

自分の体の一部なので無くしてしまうこともないでしょう。

生体認証も盗まれることがある
生体認証も盗まれることがある / Credit:Depositphotos

しかし、これまでに登場した生体認証も完璧ではありません。

例えば、外傷などによって身体的特徴が変化する場合があるからです。

また指紋認証は一度登録されると基本的に変更されないため、採取して偽造されれば長期的ななりすましにつながる恐れもあります。

では、情報が複雑で、盗むことができず、手順も簡単な本人確認の方法はあるでしょうか?

そこで今回の研究チームは「呼気」に目を付けました。

これを聞いても、すぐにピンと来る人は少ないかもしれません。

確かに私たち人間が、他人の呼気を嗅いでも、それが誰のものであるか言い当てることは困難でしょう。わかることはせいぜい「こいつ昨日にんにくを食べたな」とか、そのくらいでしょう。

しかし人工知能(AI)による機械学習を利用すれば、呼気から個人を特定できるというのです。

そして実際にチームは、「呼気による個人認証システム」を開発しました。

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