運河の再生に伴い、人々のメンタルヘルスに与える影響が調査される
現在の都市開発では、緑地を含んだ計画が一般的です。
これは環境問題だけにアプローチしたものではありません。
人々のメンタルヘルスは、ビルや機械だけの無機質な空間よりも、公園や並木道などの植物が存在する空間の方が、良い状態を保てるのです。
緑の空間が私たちに癒しを与えることは、多くの専門家だけでなく、私たち自身が実感していることでしょう。
では、他にも私たちのメンタルヘルスを向上させてくれる要素はあるのでしょうか?
ジョウルジウ氏ら研究チームは、10年間にわたって「水のある空間」がもたらす影響を研究しています。
この研究は、イギリスの都市グラスゴー周辺の環境とそこに住む合計13万2788人の人々を対象にして解析されたものです。
1963年、250年の歴史をもつ「フォース・アンド・クライド運河」が閉鎖され、廃棄物でいっぱいのゴミ捨て場へと変わってしまいました。
この運河はグラスゴーの近くを流れていたため、閉鎖と同時にグラスゴーを含む運河沿いの地域は大きな影響を受けたようです。
ところが2000年には運河の再生が開始。2006年にはレクリエーションスペースとして再オープンすることになったのだとか。
つまりグラスゴー周辺では運河が復活し、「水のない空間」から「水のある空間」へと大きく変化したわけです。
この点に着目した研究チームは、グラスゴーで生活する人々のメンタルヘルスに、水のある空間がどのような影響をもたらすか調査することにしました。