どれくらい「水なし」で生きられる?
水分の摂取は、私たちが生きていく上で最も重要な要素です。
人体には脂肪や筋肉の貯蓄があるため、多少食べ物がなくてもそれを燃やしてエネルギーに変換できます。
しかし、体内の水の備蓄量はずっと少ない上に循環も早いので、こまめに水分補給をしなければなりません。
成人の体は60%が水分で構成されており、それが汗をかいたり、排尿したり、呼吸をしたりすることで絶えず失われています。
呼吸と発汗による水分の損失量は、一般的な条件下では24時間あたり0.3~1リットル程度と言われています。
しかし砂漠のような暑い環境だと、成人で1時間に1.5リットルもの汗をかきます。
また、大人は1日に約1.5リットルの水分を尿として排出しています。
これらすべてを合わせると、人は1日にだいたい2リットル前後の水分を失っていることになります。
なので成人であれば、飲み物や食事から最低限これだけの水分を摂取して、体内の水分バランスを保つ必要があるのです。
では、水分を摂らずに人体が耐えられる日数はどれくらいでしょうか?
専門家によると、人が水なしで生きていける期間はわずか3~7日とのことです。
しかもこれは一般的な気温や湿度の下での話であって、砂漠のような暑い場所であれば、その日数はさらに短くなります。
また、子どもや乳幼児ではもっと短い期間しか耐えられないでしょう。
ちなみに過去に知られている水なしの最長記録は、1979年4月にオーストリア人の男性、アンドレアス・ミハヴェッツ(Andreas Mihavecz)が記録した18日間です。
当時18歳だった彼は、自動車事故の同乗者だったために一旦留置場に勾留されましたが、彼を担当した3人の警官は誰かが解放したと勘違いして、彼の存在を完全に忘れ去っていました。
地下の独房に入れられていた彼は、叫び声をあげてもまったく誰も気づかれず、結局18日間、水も食料もなしで壁に結露した水を舐めて生き延びたといいます。
その後、独房の悪臭に気づいた警官によって見つけ出されましたが、健康を取り戻すのに数週間を要したそうです。
助け出されたときの彼の体重は24キロも減っていたといいます。ちなみに彼の生存記録はギネスに登録されています。
これは極めて稀な事例であり、普通は満足な水分なしに18日間も生き延びることはできません。
そのため一般的には水を摂取できない場合、人間はだいたい3日を過ぎると危険であると考えるのが妥当でしょう。
生活のライフラインである、電気・ガス・水道のうち、水道は料金を滞納しても一番長く待ってくれると言われているのも、こうした事実があるためです。