最新の調査によって日本の島の数は「1万4125島」だと判明
1987年、海上保安庁によって発表された日本の島の数は、6852島でした。
これは、最大縮尺海図や2.5万分の1の地形図を使用し、①周囲が0.1km以上、②何らかの形(橋や防波堤は例外)で本土と繋がって一体化していない、③埋立地ではない、などの条件を満たすものとしてカウントしたものです。
この「6852島」という数字は、公式な記録として長年扱われてきました。
ところが2021年12月、有村治子議員は「島の数を正確に把握し所管することは国益に関わる大事な行政」だと指摘。35年ぶりに正確な調査が開始されました。
そして2023年2月28日、国土地理院が最新の島の数を発表しました。
その数は「1万4125島」です。
1987年の公式記録と比較すると、なんと2倍以上の数です。
島の数が35年前の調査と2倍も違うというのは、ずいぶん極端な結果に思えますが、どうしてここまでの違いが生じたのでしょうか?
ほとんどの人は、35年前とは島を数える際の基準が大きく変わったからだと考えるかもしれません。
では、島の計数方法の基準はそんなに大きく変化したのか見てみましょう。
「島の定義」については、国際連合条約で「水に囲まれており、満潮時水上にあって、自然に形成された陸地」と定められています。
ここには大きさの基準が含まれておらず、島の計数方法に国際的な取り決めはありません。
そこで国土地理院は、電子国土基本図を用いて、①周囲長0.1km以上の海岸線で囲われている、②自然に形成されたと判断できる、③内水面にある陸地は除外する、などの条件を満たす島をカウントしました。
②の条件を当てはめると埋立地など人工島はカウントされません。そのため自然に形成されたか否かを、過去の地図との比較で判断しました。
ただこの方法では、過去の地図には描写されていなかった小さな陸地に関しては、判断が困難になります。そのため電子国土基本図に描写されたすべての陸地12万729のうち、周囲長0.1km以上の陸地のみを判断の対象としています。
こうしてみると最新の基準は、確かに1987年とはやや異なる条件ですが、「周囲長0.1km」という部分は変わっておらず、どうも計数基準の違いが島数増加の原因ではないようです。
もちろん、火山活動やその他自然の力によっていくらかの変動はあるはずですが、それでも35年程度で2倍以上の違いは生じないでしょう。
では島数の増えた理由はなんでしょうか?
国土地理院は、島の数が大きく増加した理由について、「測量技術の進歩による地図表現の詳細化が大きく影響している」と述べました。
例えば、江の島とその周辺の地図を見てみましょう。
過去の地図表現(上図)では、海岸線の形状が曖昧であり、周囲長0.1km以上の島は2カ所しかないように見えます。
しかし地図の電子化(下図)に伴って、調査・描写精度が大幅に向上したことで、江ノ島周辺の陸地についても「実は本島と一体化していなかった」「実は周囲長が0.1km以上あった」などの事実が判明したのです。
これにより江の島とその周辺には、カウントできる島が7カ所もあったと分かったのです。
こうした詳細な調査が日本中で行われたことを考えると、2倍以上も島の数が増えたことにも納得できます。
ちなみに、都道府県別の記録(PDF)では、長崎県(1479島)や北海道(1473島)が島の数1位、2位となっています。
また国土地理院によると、「今回の計測結果が、我が国の領土・領海に影響をあたえることはありません」とのこと。
日本は、私たちが知っていたよりもはるかに多くの島で構成されていました。
今後は、1万4125島という数字が、政府の統計など様々な分野で利用されていくのでしょう。