トビウオと人間との関わり
トビウオは、ダツ目トビウオ科の魚の総称で、太平洋、インド洋、大西洋の亜熱帯~温帯の海に生息し、世界中や日本全国で見られるメジャーな存在です。
沿岸部の表層付近を泳いでいることが多く、世界で50種ほど確認されています。また、体長はどれも約30cm程度です。
人との関わりとしては、古くから食用として親しまれてきました。
日本人なら誰しも、寿司ネタの「とびっこ」をご存知でしょう。これは正にトビウオの卵です。
成魚も食されてきた文化があり、旬である夏~秋には一部のスーパーに並べられる時もあります。脂肪分が少なく、刺身、塩焼き、フライに向いているとされます。
また、近年「アゴ出汁」がブームとなっており、ラーメン店などでも見かけるようになりました。アゴとは何の魚かご存知でしょうか?そう、アゴとは九州、山陰地方、関西地方でのトビウオの別名なのです。
トビウオが、飛びたい理由とは?
当然のことですが、魚類が酸素を取り込むための器官「エラ」は、水中に僅かに溶けている酸素を取り込むことに特化しています。よって、水中から出れば窒息死してしまいます。
ではトビウオは、なぜ水の外にでようとするのでしょう。
短時間とはいえ、飛行中の彼らは窒息死のリスクと戦っていることになります。そのリスクを冒してまで、彼らが飛びたい理由とは、何なのでしょうか?
トビウオが飛ぼうとする理由として最も有力なのは「外敵から逃げるため」というものです。
表層を泳ぐトビウオは、マグロ、カジキ、サバ、シイラなどの大型魚類に水中から狙われることがあります。これらの大型回遊魚は泳ぐのがとても速いため、水中で追いかけっこをすればトビオウは簡単に捕食されてしまいます。
では、「水面下には敵、上には空中」という絶体絶命の状態で、トビウオはどうするのでしょうか?
そう、彼らは敵の目をくらませるために、決死のジャンプをするのです。マグロなどにしてみれば、余裕で仕留められると思ったトビウオが突然水中から消えるのですから、この戦術は有効だと言えそうです。
また、夜間の照明など、何かに驚いた際にトビオウが飛ぶこともあります。船のエンジン音に驚いて、誤って船の上に飛び込んでしまうケースも報告されています。飛行能力があるばっかりに、残念な最期を遂げてしまうこともあるようですね。
では水中の生き物であるトビウオは、具体的にどうやって空を飛んでいるのでしょうか?