中咽頭がんの7割は「ヒトパピローマウイルス」への感染
咽頭は鼻の奥から食道の入り口までを指し、上から順に上咽頭・中咽頭・下咽頭と分けられます。
その真ん中に悪性腫瘍ができるのが「中咽頭がん」です。
日本では毎年2万4000人ほどが中咽頭がんと診断されており、頭頸部がん(頭〜首までの範囲で発症するがん)全体の12.1%を占めています。
早期での自覚症状はあまりないですが、進行すると喉の痛みや口臭、いびき、口の開けにくさなどが目立ってきます。
かつては飲酒や喫煙が発がんの主原因とされていましたが、近年の研究で、性行為によるウイルス感染が最も大きな原因であることが分かってきました。
具体的には、オーラルセックスを介した性器から中咽頭への「ヒトパピローマウイルス(HPV)」の伝染です。
HPVとは、性的接触のある女性であれば50%以上が一生に一度は感染する普遍的なウイルスです。
特に女性では「子宮頸がん」の発症原因となるウイルスとして知られています。
ところが欧米ではここ数年、HPVを原因とする中咽頭がん(年間1万4000人)の方が、子宮頸がん(年間1万1000人)よりも発症件数が高くなっているのです。
メハンナ氏によると、HPV関連の中咽頭がんの発症率は現在、全体の70%を占めるまでになっているという。
そのせいか、以前は中年男性によく見られた中咽頭がんが、今では若い世代の男女にも普通に見られるようになっています。
つまり、中咽頭がんの増加の裏では、人々のオーラルセックスの機会が増えていることも予想されるのです。
ただ、HPVを原因とするがんは、予防することが可能です。
この問題の発症率はどの程度あり、どうやって対処していくべきなのでしょうか?