日中は水面に浮かび、夜間は深海に潜る「アカシュモクザメ」
今回、潜水時に息を止める習性が見つかったのは、ハンマーヘッドシャークの一種である「アカシュモクザメ(学名:Sphyrna lewini)」です。
アカシュモクザメは世界中の熱帯〜温帯の沿岸域に分布し、日中は暖かい水面付近を遊泳しています。
だいたい、太陽熱で温められた水深100メートルまでの範囲、水温26℃前後の場所に留まる傾向があるようです。
しかし夜間になると、数百メートル以上の深さまで潜っていき、冷たい深海でイカなどを捕食しています。
これまでに水温5℃の場所まで潜っていることが分かっていたため、研究者たちはアカシュモクザメが低温にどう適応しているのか疑問に思っていました。
サメを含む魚類は変温動物であり、彼らの体温は周囲の温度に大きく依存しています。
つまり、あまりに水が冷たいと、特にアカシュモクザメのような温帯性の魚類は、体の熱が奪われてうまく泳げなくなるはずなのです。
それでも彼らは冷たい深海に潜って悠々と獲物の狩りをしています。
そこで研究チームはこの謎を解明すべく、ハワイ近海のアカシュモクザメに筋肉温度・深度・体の向き・活動レベルなどを同時に測定できる装置をタグ付し、追跡観察しました。